2022.11.29

獲得件数を増やさず利益を最大化する【「D2Cの会 フォーラム」<第2回>北の達人コーポレーション 木下勝寿社長(後編)】

北の達人コーポレーション 木下寿勝社長


通販・D2Cのコンサルティングを手掛ける、売れるネット広告社はこのほど、(公社)日本マーケティング協会と共同で、「D2Cの会 フォーラム2022」を開催した。オルビスや北の達人コーポレーションなど、通販・D2Cを運営する企業の、社長や担当者が多数登壇した。本連載では、フォーラムで開催された講座のハイライトを紹介する。北の達人コーポレーションの木下勝寿社長は講座で、「ファンダメンタルズマーケティング×テクニカルマーケティング」について解説した。


売り上げか?利益か?


D2Cは1円単位で計算できるビジネスであるため、「テクニカルに利益を出す」ことが重要だ。

D2Cにおける利益が、「顧客1人(1件)当たりの利益(LTV‐CPO)×顧客獲得件数」であることはご存じの通りだ。このバランスが最高値になることを目指す。

仮に、LTVが1万円の商品で、CPOが6000円、7000円、8000円の3パターンがあったとする。1人当たりの利益は、4000円、3000円、2000円になる。

CPOが高ければ顧客獲得件数も増えるため、CPOが6000円のときは1000件、7000円のときは1500件、8000円のときは1800件獲得できたとする。

LTV×顧客獲得件数で表される売り上げは、順に1000万円、1500万円、1800万円となる。

ここで、1人当たりの利益が黒字であれば、売り上げを最大化することにより利益が最大になる。そのため、「CPO8000円が最適だ」と思い込む人が多い。

ただ、全体の利益で見ると必ずしもそうではない。全体利益は、「1人当たりの利益×顧客獲得件数」だ。すると、1人当たりの利益が4000円でCPOが6000円の場合は、400万円となる。

利益が3000円でCPOが7000円の場合は、450万円になる。利益が2000円でCPOが8000円の場合は、360万円になる。全体の利益は、先ほどの売り上げとは違い、1人当たりの利益3000円で、CPO7000円が最大になる。

つまり、売り上げの最大化と利益の最大化は違うということだ。

通常、CPOを見ながら広告運用するケースが多いと思うが、それでは顧客獲得件数が増えても利益が減少している場合もある。

当社では、LTVが4カ月でプラスマイナスゼロになるようなCPOの設定をしている。そうすると、顧客獲得件数が増え過ぎることなく、利益が最大化すると考え、マーケティングを行っている。

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