2022.03.07

トランスコスモス、世界8都市のEC利用調査の結果公開 サスティナブル意識の高まりが明らかに

トランスコスモスは3月3日、世界のオンラインショッピング利用の現状を探る自主調査「世界8都市オンラインショッピング利用調査2022」の結果を公開した。東京におけるサスティナブル消費の理解や実践が遅れていること、いずれの都市でも越境ECサイトは広く利用されており、日本ブランドの購入意向も高いことなどがわかった。

「世界8都市オンラインショッピング利用調査2022」は、2018年より毎年実施してきた「アジア10都市オンラインショッピング利用調査」の設問を継承し、調査対象都市から5都市(東京、上海、ムンバイ、バンコク、ジャカルタ)を残したうえで、新たにソウル(韓国)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)を加えた世界8都市のショッピング利用者を対象に実施したもの。調査期間は2022年1月17日~1月24日。回収サンプルは2560(各都市320)。環境を意識した「サスティナブル消費」のほか、注目を集める「ライブコマース」や「越境EC」などの利用実態もとりあげ、グローバル視点でのオンラインショッピングの実態を明らかにした。

サスティナブル消費という言葉の現地語を提示したうえで、その言葉を知っているか、日頃から意識して買い物をしているかについて4段階で尋ねたところ、理解・実践度がもっとも高かった「ムンバイ」では、「言葉を知っており、サスティナブル消費を行っている」が63%、「言葉を知っているが、サスティナブル消費を行っていない」が22%と、理解度が8割を超えた。次ぐ「上海」も理解度が8割、実践度が6割を超えたほか、7位の「ソウル」においても理解度は6割を超えた。一方「東京」は、「言葉も聞いたことがない」との回答が36%を占め、ほかの7都市に比べると理解(3割超)も実践(1割)も大きく遅れていることがわかった。

【サスティナブル消費の理解・実践度】


サスティナブル消費の実践内容としては、オンラインでの買い物にあたって「環境保護に積極的に取り組むブランドを選んでいる」(8都市平均41%)や「メンテナンスや修理サービスを提供しているブランドを選んでいる」(同28%)など、ブランドを意識した項目が上位にあがった。アジアの都市では「省エネの商品を選んでいる」との回答も多かった。

オンラインショッピングのさまざまな意識について尋ねた問いでは、「上海」「ムンバイ」「バンコク」「ジャカルタ」のアジア都市は、さまざまな手段を積極的に活用することで良い買い物をしたいというこだわりが強いことがわかった。「インフルエンサーの意見が買い物に影響する」と答えた人が「上海」68%、「ムンバイ」65%、「バンコク」73%、「ジャカルタ」60%、「メッセンジャーやチャットで、専門家(店員)のアドバイスをもらいたい」と答えた人が「上海」65%、「ムンバイ」68%、「バンコク」82%、「ジャカルタ」83%となるなど、ソーシャルメディアやショップ側とのコミュニケーションへのニーズも高い結果となった。「商品をオススメしてもらうために個人情報を提供してもよい」と答えた人の割合も6割以上となった。

【オンラインショッピング意識(各項目について「はい」と答えた人の比率)】


一方、東京は、新しい技術や手法に対して消極的であり、昨年までと同様の傾向が続いている。「インフルエンサーの意見が買い物に影響する」が25%、「メッセンジャーやチャットで、専門家(店員)のアドバイスをもらいたい」が22%など、チャット、ライブコマース、アバター活用など新しい販売手法やコミュニケーションへの関心も低い水準にとどまった。

今回新たに対象に追加した「ニューヨーク」「ロンドン」では、ブランドを意識するとの回答が8割を超えた。ショッピングサイト選びにおいて、「店舗受取のできるところを選びたい」(ニューヨーク63%、ロンドン59%)も重視された。同じく新たに追加した「ソウル」は、ほかのアジア都市より、「ニューヨーク」「ロンドン」に近い傾向が見られた。

東京を除く7都市で、国外サイトの利用経験者割合がもっとも高かったのは、77%の「ムンバイ」だった。もっとも低い「ジャカルタ」でも57%と、アジア、欧米各都市における越境EC利用率はいずれも50~70%台で、すでにグローバルレベルで定着している段階だとしている。国外サイト利用経験者のうち、日本のECサイトの利用経験がもっとも高かったのは「上海」(33%)で、次いで「バンコク」(27%)、「ジャカルタ」(20%)だった。「ニューヨーク」と「ロンドン」では1割に満たない結果となった。

【越境ECサイトの利用率と日本ブランドの購入意向(東京を除く7都市)】


一方、「国外ECサイトで日本のブランドを購入したい」かを尋ねた問いでは、「バンコク」の89%を筆頭に各都市とも高く、「ニューヨーク」「ロンドン」でも6割を超えた。日本のECサイトにとってポテンシャルは大きいとしている。

こうした結果を受け、トランスコスモス グローバル事業統括 アナリストの萩原雅之氏は、「今回の調査では、新たにニューヨーク、ロンドン、ソウルを対象都市に加えたことで、アジアと欧米の違いや特徴がより明確になりました。グローバル全体でみれば、チャットサポートやライブコマースなどは日本の現況以上に浸透しており、今後はメタバースでのアバター活用など新しいコミュニケーションも必要となるでしょう。また越境ECにおいては、サスティナビリティを意識した商品開発やブランド戦略も特に重要なテーマになるはずです」とコメントした。




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