Google(グーグル)は7月22日、サードパーティークッキー(ユーザーがウェブ上で訪れたサイトではなく、別のドメイン〔第三者〕が発行する識別情報。ユーザーのウェブ上の行動嗜好に合わせた広告配信の基礎情報になる)を廃止する方針を、事実上撤回する旨を発表した。グーグルは2020年1月に、プライバシー保護のため、「段階的にサードパーティークッキーを廃止する」と発表していた。今回、サードパーティークッキーの廃止の撤回を発表したことによって、ターゲティング広告がこれまで同様、引き続き利用できる可能性が高まった。ただ、プライバシー保護に向けた取り組みを、グーグルがやめたわけではない。今後何らかの形で、グーグルのターゲティング広告が配信できなくなる事態もありえるとみられている。
ユーザーの選択肢を拡充
グーグルのアンソニー・チャベス・プライバシーサンドボックス担当副社長は7月22日、「サードパーティークッキーを廃止する代わりに、『Chrome(クローム)』で新しい体験を導入する。新しい体験では、ユーザーが、情報に基づいた選択を行うことができ、その選択はウェブ閲覧全体に適用される。その選択は、いつでも調整できるものにする」と発表した。
▲プライバシーサンドボックスに関する発表でサードパーティークッキーの廃止の撤回を発表グーグルは2020年1月、サードパーティークッキーを廃止し代替手段として、プライバシーサンドボックス(ユーザー情報を隠した状態で、ユーザーの行動嗜好に合わせたコンテンツを配信できる仕組み)の開発を行うと発表していた。
グーグルはこの方針を撤回し、サードパーティークッキーを活用したターゲティング広告の配信を続ける方向性を示した形だ。サードパーティークッキーを廃止する代わりに、ユーザーが自ら、ウェブ上の自分の情報を管理できる機能を拡充するとみられる。
グーグルがサードパーティークッキーの廃止の方針を撤回したのは、サードパーティークッキーの廃止による、グーグルの広告収入の激減を回避できないと判断したからだとみられている。
ある民間の調査では、グーグルがサードパーティークッキーを廃止して、プライバシーサンドボックスを使った広告配信を行うと、グーグルの広告収益が20%減ると予想されていた。