2024.06.19

Scandit、トヨタ自動車に高性能スキャン技術を提供 トレーサビリティ業務の効率化を支援

Scanditは6月18日、高性能スキャン技術「Scandit Barcode Scanner SDK」がトヨタ自動車に採用されたと発表した。製造ラインでのタブレット内蔵カメラによるバーコード、およびQRコードのスムーズなスキャン作業を実現し、トレーサビリティ業務の効率化を支援する。

高性能スキャン技術を開発するScanditは、スマートフォン、ドローン、デジタルアイウェア、ロボットなどのスマートデバイスで使用でき、バーコード、テキスト、身分証明書(ID)に加え、オブジェクトからもデータを認識できる「Scandit Smart Data Captureプラットフォーム」を提供している。

Scanditのテクノロジーは、ハンディターミナルと比較して最大3倍の速さでデータを正確にスキャンが可能。汚れや傷によって読みにくいバーコードや、光の反射や角度による悪条件下、複数のバーコードでも正確に一括スキャンでき、、コスト削減、従業員の利用定着率と顧客満足度の向上を実現する。

このほど、トヨタ自動車において、「Scandit Barcode Scanner SDK」が採用された。

愛知県のトヨタ自動車 田原工場は、3つの製造ラインが稼働し、「ランドクルーザー」「レクサス GX」「センチュリー」などの大型車を中心に製造を行っている。同工場の一部ラインにおいて、主にトヨタ自動車で開発も担っている作業者への生産指示アプリ(通称:電子指示ビラ)をタブレットで利用。同タブレットに連携させたQRリーダーを使用し、部品のトレーサビリティに関する情報を取得していたが、タブレットに加えて高価な専用スキャナーが必要なことによる「コスト増加」、タブレットと専用スキャナーの両方の操作が必要なことによる「作業効率低下」、専用スキャナーの充電やBluetoothペアリングなどの管理による「運用負担」が課題となっていた。

これらの課題を解決するためトヨタ自動車は、タブレットの内蔵カメラでの各種コード(バーコード、QRコード、マイクロ QR)読み取りを検討したが、汎用タブレットに搭載のカメラアプリやオープンソースのフリーソフトでは、サイズの小さいコード、湾曲面に貼られたコード、暗い車両内でのコードの読取において、スキャンの遅延・失敗といった問題が発生し、製造現場での使用には不十分だった。

そこでトヨタ自動車は、「Scandit Barcode Scanner SDK」のテスト・検証を実施。タブレットの内蔵カメラを使用しているにも関わらず、QRコードの迅速かつ優れた読み取り精度を実現できることを確認した。さらに別のテストでは、「Scandit Barcode Scanner」が、金属面への刻印や湾曲面に貼られたQR コードも含み、部品に付いているQRコードの読み取り精度を大幅に向上させていることを確認。これらのテスト結果を総合的に評価し、「Scandit Barcode Scanner SDK」の採用に至ったとしている。

本事例では、事前検証において、Scanditのパートナーである日立ソリューションズが支援に入ったことでスムーズな導入を実現した。

「Scandit Barcode Scanner SDK」の導入によりトヨタ自動車は、専用スキャナーが不要になったことによる「コスト削減」、タブレット1台のみで操作が可能となったことによる「作業効率向上」、専用スキャナーの管理が不要になったことによる「運用負担軽減」、さまざまな状態のコードに対応する「読み取り精度向上」を実現した。

今回の「Scandit Barcode Scanner SDK」導入について、トヨタ自動車 田原工場組立部技術室の担当者は、「製造ラインで使用する各部品のトレーサビリティは、法的にも社内のルールとしても必要不可欠です。タブレットの内蔵カメラで当社の作業指示アプリとコードのスキャンが統合できたことは、現場の作業負担軽減とコスト削減に大きく寄与しました」とコメントした。

トヨタ自動車 車両製造技術開発部システム製作課の担当者は、「コードのスキャンによって部品が確認できなければ、製造作業を進めることができません。そのため、読み取り対象部品はもれなく読み取ることが必要になります。Scandit Barcode Scanner を使ったテストでは、現場作業で想定されるさまざまな条件を設定して読み取り検証を実施しました。その結果、現場で要求される読取条件下(バーコードサイズ、周囲の照度、読取にかける許容時間)において正確にもれなく読み取ることができました。作業者がストレスを感じないように短時間で正確な読み取りができることも高評価でした」と述べた。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事