2024.04.27

【海外奮闘記 <前編>】KAMEREO INTERNATIONAL 田中卓代表「ベトナム最大の食品流通網を構築」

KAMEREO INTERNATINAL 田中卓代表


日本から約4000キロメートル離れたベトナムで一人の日本人が躍動している。「ベトナム最大の食品流通のインフラを作る」と意気込むのは、2018年6月に創業したKAMEREO INTERNATINAL(以下、カメレオ社、本社シンガポール)の田中卓代表取締役だ。カメレオ社は野菜などを中心とする食品のBtoB-ECサイト「KAMEREO(カメレオ)」をベトナムで展開している。日本人は田中社長のみで、200人超の従業員は全員がベトナム人。新型コロナの影響で事業展開がストップする事態となったが、2022年以降から劇的なスピードで事業を成長させている。今後は物流拠点の拡大や新たに始めた流通加工の強化でベトナム国内の事業拡大を図る。カメレオ社について、田中社長に話を聞いた。



不確実性を取り除く

――ベトナムでの展開、手応えはどうか?

まず、ベトナムの食品流通が整備されていないことが前提にある。
 
例えば、時間通りに商品が届かない、値段が違う、間違った商品が届くなどだ。この不確実性を取り除くことだけでも一つのビジネスになる。また、企業から食材を購入するフローがなく、それぞれの仕入れルートで食材がお店などに届くようになっている。
 
この不確実性とアナログな環境に対して、当社は食品流通のインフラを整えようと事業展開している。食材を届ける現地企業もあるが、当社のようなECを活用する手法ではないため競合がいない。そしてゼロをイチにするサービスであることも強みで、手応えは十分にある。


すでにベトナム最大規模に


――カメレオの事業進捗や仕組みを聞きたい。

事業を開始して4年が過ぎた。現時点で商品掲載数は1500アイテム超に拡大し、飲食店など顧客数は約2500カ所に広がった。販売先は飲食店から広げ、今はコンビニエンスストアやスーパーマーケット、学校、病院などにも食材を届けている。
 
食材を仕入れる契約農家の件数は100カ所超に拡大し、19年のサービス開始から4年間で、年間売上の平均成長率は300%超で推移、ベトナムでも最大規模の食材EC企業となった。
 
カメレオは、オンラインで食材の注文や配送までを手掛ける食材のBtoB-ECだ。サイト構築は自社開発し、食材の品質管理から出荷までの倉庫管理と運営、店舗への配送にも対応する。商品の仕入れから納品までのサプライチェーン全てが自社対応だ。
 
野菜や果物などを販売してきたが、肉や卵、調味料、日用品などの供給も始めている。


愚直な営業からスタート


――ベトナムではどんな営業方法をとっているのか?

愚直な取り組みを続けている。実績も何もなく、ひたすら「こういう事業で頑張っていくのでお願いします」という営業を1件ずつ行っている。当初は大変だったが、今はある程度の契約が取れてきたり、オーガニックな新規契約があったり、紹介なども増えている。
 
日本と同じように、紹介の信頼や信用性は強い。そこを上手に活用して、契約先には当社のことを他の方々にシェアしてほしいと伝えている。安くていいという話法はポジショニングトークでしかないためだ。
 
ただ、こうした営業の難しさは現地企業も同じなのだが、当社はスタートアップという強みを生かせる点が現地企業と大きな差別化になっている。


<後編に続く>








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