2024.04.23

【データに見る「ECの地殻変動」】<第26回>越境EC大国「中国」に立ち向かう切り札とは?

日銀が金融政策を転換したものの円安が続いている。いつまで続くか予想は難しいが、越境ECを手掛ける事業者にとって円安の継続は歓迎したい思いだろう。

経済産業省によれば2022年における日本からの越境EC市場規模は、中国消費者向けが2兆2569億円、米国消費者向けが1兆3056億円となっている。アセアン諸国など中国、米国以外の消費者向けはまだ伸び代が大きいと見られるので、日本の事業者にとって越境EC市場のポテンシャルは高いのではないか。


中国の10分の1以下


ただし気を付けたいのは”売り手”としての中国の存在だ。複数のデータリソースを調べてみたところ、2023年の全世界の消費者に向けた中国からの越境EC市場規模は約50兆円と予想される。

日本からの越境EC市場規模は中国、米国向けを含めせいぜい4兆円がいいところだ。つまり売り手としての中国は日本の10倍以上の規模である。独身の日に日本製品が多く売れたニュースを聞くと日本は越境EC大国のように錯覚しがちだが正しい認識とは言い難い。

もう少し具体的なデータを見てみよう。2023年9月に行われた世界41カ国の越境EC利用者約3万人向けのアンケートで、直近1年間に購入した国はどこかという質問がある。



結果は中国37%、ドイツ13%、米国10%、英国8%、フランス4%、その他28%。ここに日本の名前はない。回答者の国別に見ても米国、英国、ドイツ、フランスといった経済大国は軒並み中国からの購入がトップである。中国が売り手としての越境EC大国であることを示すデータだ。

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