2024.04.19

三井不動産とSUPER STUDIO、ECブランドの成長支援プラットフォーム提供 出店から物流まで包括支援

三井不動産は4月19日、統合コマースプラットフォーム「ecforce」を提供するSUPER STUDIOとともに、ECブランドの成長を“商業”と“物流”の両面から支援するプラットフォームの提供を開始した。リアルとデジタルの融合により、顧客へさらなる利便性と購買体験を提供するとともに、柔軟に利用しやすい物流サービスを提供し、ECブランドの成長への貢献を目指す。

三井不動産とSUPER STUDIOは、2022年6月より、顧客にオンラインとオフラインの垣根を意識させず、モノやサービスの購入・体験を提供するマーケティング施策「OMO ソリューション」の提供を行っている。

2023年7月には、三井不動産が運営する商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK」(東京都渋谷区)に、ECブランドが週単位で出店でき、SUPER STUDIOの統合コマースプラットフォーム「ecforce」を活用し、EC同様の顧客データ取得と継続的なマーケティングを実現するリアル店舗「THE [ ] STORE」を出店した。

EC・リテール領域のさらなる事業推進のため新設したイノベーション推進本部 ベンチャー共創事業部が手がける「31VENUTRES」では、2023年10月にポップアップストアの出店支援プラットフォームを提供するカウンターワークスへの出資を実行。2024年2月には、提携した倉庫会社に対して、独自開発した倉庫管理システムや標準化されたオペレーションを提供することで、全国の倉庫をネットワーク化した物流プラットフォームを構築し、従量課金で利用可能なフルフィルメントサービスを展開するオープンロジへの出資を実行した。

一方、ロジスティクス本部では、2012年4月に物流施設開発の取り組みを開始。「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)」を旗艦ブランドとして、「MFLP 船橋Ⅲ」や「MFLP 座間」など、国内外に開発・運営施設 66物件を展開している。特に「MFLP 船橋Ⅲ」においては、2階にエクシーク、4階にはロジスティードが入居しており、EC事業者向けに物流ワンストップサービスを提供し、三井不動産としてECブランドの物流を支援していく場が整っている。

こうした状況においてこのほど、三井不動産とSUPER STUDIOは、共に提供している「OMO ソリューション」を“商業”と“物流”の領域へ拡張し、リアル・デジタルの両面からECブランドの成長を支援するプラットフォームの提供を開始した。

「31VENUTRES」の出資先であるSUPER STUDIO、カウンターワークス、オープンロジ、共創パートナーであるエクシーク、ロジスティードのサービスに、三井不動産のリアルアセットの強みを組み合わせることで、ECブランドの成長を商業と物流の両面から支援する。

メーカーが消費者に商品を直接販売するD2C市場は、2025年に3兆円を超えると予想され、オンライン販売だけに特化したデジタルネイティブなブランドも急増している。ECブランドの立ち上げ直後は、ECサイト構築に特化したプラットフォームを使い、物流は自社で行う企業が大半を占めるが、ブランドが成長して軌道に乗り始めた後にさらなる成長を実現するには、データに基づいたマーケティングを実行する基盤とノウハウ、顧客拡大のためのリアルの場の活用、大規模な物流ソリューションが必要になるとし、新たに始動したプラットフォームでは、商業・物流の双方において新たな取り組みを実施する。

商業面においては、ポップアップストアの出店プラットフォーム「SHOPCOUNTER(ショップカウンター)」を運営するカウンターワークスとの連携により、「三井ショッピングパーク ららぽーと」をはじめとする大規模商業施設のポップアップ店舗でのOMOソリューションの提供を開始。三井不動産とSUPER STUDIOが運営してきた「THE [ ] STORE」と「SHOPCOUNTER」の両ソリューションを活用し、ECブランドの成長支援をより一層強化する。

物流面においては、三井不動産ロジスティクス本部イノベーション推進室が、新たに「&LOGI Sharing」として、EC事業者の物流をリアル・デジタルの両面でワンストップで支援するサービスを提供する。オープンロジが提供する「オープンロジ」を使用することで、提携先倉庫約70社に対して物流業務のアウトソーシングが可能だ。

2024年2月には、SUPER STUDIOが提供する「ecforce」と「オープンロジ」のAPI連携が完了しており、これにより「ecforce」を利用するEC事業者は、ECサイトの受注情報の取り込みや倉庫への出庫依頼の自動化ができ、拠点の分散・拡張が容易な物流ワンストップサービスを利用できる。

こうしたデジタル面での支援に加えて、三井不動産のリアルアセットとして「MFLP 船橋Ⅲ」では、2階と4階の2区画がEC事業者向けの物流業務を担う最先端施設となっており、4階では三井不動産の自社ECサイト「&mall」の荷物を自動化倉庫および自動製函・梱包機を用いて取り扱っている。この三井不動産の「EC自動化物流センター」は、他産業へシェアリングする提案を行っており、「ロジスティード」とともに高品質・効率な物流業務を提供している。

2階では、EC事業者の物流フルフィルメントサービスを担い、多くの運用実績で培ったノウハウを強みとする「エクシーク」が、「FULFILLMENT PARK(フルフィルメントパーク)」として多様な倉庫管理システム(WMS)や出荷対応といった柔軟性に加え、AIロボットを用いて省人化・高効率で物流業務を行っている。

さらに今後は「オープンロジ」の提携倉庫として、「MFLP 船橋Ⅲ」の2階・4階の連携を検討しており、これにより三井不動産として、リアルとデジタルの融合により、 ECサイトから物流まで、EC事業者を一貫して支援する仕組みを構築していく考えを示した。将来的にはECに限らず、リテール業界全体のOMO実現に貢献するプラットフォームへの進化を目指す。




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