2023.11.28

TBM、環境配慮型素材を扱うB2B向けマーケットプレイス 「Green Sourcing Hub」β版ローンチ

TBMは11月24日、日本発の環境配慮型素材を取り揃えたB2B向けマーケットプレイス「Green Sourcing Hub(グリーン・ソーシング・ハブ)」 のβ版をローンチした。本取り組みは、日本貿易振興機構(JETRO)が推進する、令和4年度「スタートアップ等輸出支援ビジネスモデル実証事業費補助金」に採択されている。国内素材メーカーの海外マーケットへの参入機会を創出を支援する。

TBMがβ版をローンチした「Green Sourcing Hub」は、日本の環境配慮型素材を取り揃えたB2B向けマーケットプレイス。国内の低炭素素材(Low-carbon)、リサイクル素材(Recycled)、バイオ素材(Bio-based)等の環境配慮型素材がラインアップする。



サプライヤー(素材登録企業)は、β版期間中は無料でストアを開設可能。常に進化し続けるプラットフォームに素材を掲載することで、グローバルマーケットへリーチしやすくなる。素材情報をストアに集約することで、営業工数を削減することができ、新しいマーケット開拓やバイヤーとのより深い関係構築に時間を使うことが可能だ。顧客情報から見積書、請求書等を1つのプラットフォームで管理でき、ストアの管理者には複数名を登録できるため、社内における情報の可視化が実現できるという特徴も備える。


▲日本の素材メーカーと国内外のバイヤーをつなぐ

一方、バイヤー(素材購入企業)は、素材調達の効率化、取引状況の一元管理といったメリットがある。「Green Sourcing Hub」では、リサイクル素材やバイオ由来素材等のカテゴリーに素材を分類、素材の選定において必要な物性フィルター機能も備えているため、求める環境配慮型素材を素早く特定でき、調達の時間を短縮できる。樹脂に限らず、繊維やシート等さまざまな素材を扱うため、1つのプラットフォームで異なる用途に関する調達が可能という特徴も備える。将来的には、包装資材やプロダクト等の展開も検討している。

見積依頼から請求書の受け取り、物性情報のダウンロードまで、調達のプロセスを簡略化しており、1つのデジタルハブでさまざまな情報の一元管理も可能だ。


▲顧客情報から請求書まで一元管理

サービス提供の背景として、成長するグローバルのグリーンマテリアル市場と、2025年までにB2B取引の80%がオンラインへの移行が予測される現状を挙げた。

国内の素材産業は、国内GDPの2割を占める製造業の約3割を占める基幹産業だ。日本の素材は、優れた機能性等が評価されており、国際競争力を有している。素材のグローバル需要は途上国を中心にさらに拡大していく見込みであり、今後も素材産業は日本の基幹産業として発展し続けられる市場が存在する。

世界のサステナブルプラスチック市場(バイオ由来プラスチックや生分解性プラスチック等)の市場規模は2020年から2030年まで年平均成長率13.3%で成長し、2030年には8288億米ドルに達すると予測されている。また、世界の再生プラスチック市場は、2023年の507.8億ドルから2030年には889.6億ドルに成長し、予測期間中の年平均成長率は8.3%と予測されている。各国政府はリサイクル素材の使用を推進する政策を次々と発表しており、透明性が確保され、環境に配慮された再生素材に対するニーズは加速度的に伸び続けると予想されている。

B2B取引は、ほぼ半数が2020年時点でオンラインでの取引であり、2025年までにはサプライヤーとバイヤーとのデジタル取引は80%になると予想されている。アメリカやヨーロッパの素材メーカーは、デジタルプラットフォームを通じた素材の売買やマーケティング活動が盛んに行われている一方、日本の素材メーカーは、商社や現地の販売代理を活用することが多く、デジタルプラットフォーム通じて素材メーカーがエンドブランドや成形メーカーへ直接的にアプローチする海外展開は発展途上だ。「Green Sourcing Hub」は、国内素材メーカーが取り扱う樹脂や繊維、シート等の国内外へのオンラインでの販売を支援する。

β版のローンチにあたり、TBM 代表取締役CEO 山﨑敦義氏は、「環境に配慮したプラスチックの代替素材の需要がグローバルで高まる中、JETROの令和4年度『スタートアップ等輸出支援ビジネスモデル実証事業費補助金』にかかる採択により、革新的な環境配慮型素材を取り揃えたB2B向けマーケットプレイス『Green Sourcing Hub』 のβ版をリリースできたことを大変嬉しく思います」と述べた。

「TBMは、脱炭素・循環共生型社会の実現に向け、プラスチックや紙の代替となる、炭酸カルシウム(石灰石)等の無機物を50%以上含む新素材『LIMEX(ライメックス)』や再生素材『CirculeX(サーキュレックス)』等の環境配慮型素材の普及、社会課題である廃プラスチックの資源循環を促進してきました。今年に入り、『LIMEX』はLVMHグループ傘下のブランドや海外の代表的な企業で採用されています。また、過去にはCOPやG20、G7等の国際会議で紹介、『UNIDO(国際連合工業開発機関)』のサステナブル技術普及プラットフォーム『STePP』に登録されています。さらにTBMは今年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のユニコーン・コミュニティに参加し、素材ビジネスの海外展開に注力しています」と話す。

「経済産業省の『新・素材産業ビジョン』で記されている通り、日本の素材産業は日本経済・地域経済の基幹産業として、高い技術力を有し、海外のマーケットでも高いシェアを占める製品も多く存在します。一方、欧米では既にデジタルプラットフォームを通じた素材のデジタル取引やマーケティング活動が盛んに行われています。グローバル需要は今後さらに拡大していく見込みでありながら、国内の素材産業の内需は減少しています。TBMは、これまで培ってきた海外展開のノウハウや商社、成形メーカー、印刷会社、業界団体とのネットワークを活かし、素材ビジネスのDXを推進し、『Green Sourcing Hub』を通じて、日本の素材産業に関わるスタートアップや中小・中堅企業、サプライヤーの方々の海外展開の効率化を促し、日本の環境配慮型素材の輸出拡大、国際競争力の向上に寄与して参ります」とコメントした。

「Green Sourcing Hub」は今後、サプライヤーとバイヤーの登録者数を増やすPR活動を強化するとともに、決済機能の追加や環境配慮フィルターの強化、言語の追加等、プラットフォーム利用者の意見を聞きながら、UI/UXのアップデートを図り、正式版のローンチは2024年夏頃を予定。英語圏に限らず、ASEAN地域への展開も視野に入れるとの考えを示した。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事