2023.11.22

リピート獲得には「配送」満足度が大きく影響【エートゥジェイがEC利用実態を調査】

クラウド型ECプラットフォーム「メルカート」を提供するエートゥジェイはこのほど、消費者がどのような価値を重要視しているかを把握すべく、ECサイトでの購入経験者を対象に「ECサイトの利用」についての調査を実施し、その結果と課題の解決策をまとめた。リピートしたいと思うECサイトの特徴は「即納」「送料無料」が上位を占め、配送における満足度が利用に大きく影響していることなどが分かった。

エートゥジェイは、消費行動の多様化に伴いマーケティングの難易度が高まる昨今、ECサイトを利用する消費者はどのような価値を重要視しているのかを把握するため、ECサイトで購入経験のある全国の20代~60代の男女1000名を対象に、「ECサイトの利用」についての調査を実施した。調査期間は2023年7月11日~7月18日。

「また利用したいと思うECサイトの特徴」についてたずねた問い(複数回答)では、モール部門、自社EC部門のいずれも50%以上が「送料無料」と回答した。モール部門の2位は「クーポン、割引が豊富」(22.99%)、3位は「配達納期が早い」(21.75%)だった。自社EC部門は、2位が「商品説明が充実している」(27.37%)、3位が「配達納期が早い」(25.04%)という結果だった。モール、自社ECのいずれも「送料無料」「配達納期」が上位に入っていることから、消費者のECサイトの利用には、「配送」における満足度が大きく影響していることが分かったとしている。

【また利用したいと思うECサイトの特徴は?[n=1000](複数回答)】



「配送」に関わる項目を除くと、モール、自社ECのいずれも、「ポイント制度がある」ことや「クーポン、割引が豊富である」こと、「商品説明が充実している」こと、「レビューが多い」こと、「決済手段が豊富である」ことが求められていることが分かった。

エートゥジェイ メルカート事業責任者 / 執行役員の渡邉章公氏は、消費者が商品を購入する際、リアル店舗・ネット店舗での購入に関わらず、まずはインターネット上で情報収集すること、さらには大半の消費者がレビューを見て意思決定の参考にしていることがわかっているとし、「まずは信頼性の高い正しい情報が充実していることが必要と考えます」との見解を示した。


▲メルカート事業責任者/執行役員の渡邉章公氏

さらに、ECサイトを利用する障壁を取り除き、購入する理由を明確に作ることが重要であり、ポイント制度やクーポンなどのインセンティブを充実させ、決済手段を多様化することで、障壁を下げながら購入を獲得していくことが必要ではないかと提案した。

2024年4月から、トラック運転手の時間外労働の上限が課せられ、何も対策を講じなければ2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力が不足する可能性があり、物流の「2024年問題」として注目を集めている。政府は「2024年問題」に備えた対策の1つとして、過剰な注文を助長しかねないインターネット販売の「送料無料」表示の変更を求めるとしている。

市場を牽引する大手モールECの「送料無料」特典や「即納」が普及し、ECサイトで購入する際の決め手として送料や配送におけるサービスの期待値が非常に上がっているという現状がある。かご落ちユーザーの多くは、予期せぬ送料の発生や納期が長いことが原因であるという調査レポートも多く出ており、物流の「2024年問題」はECビジネスへの影響が甚大であると考えられているとし、こうした状況下でEC事業を成長させ続けるには、今後どのような取り組みが求められるのかと問題提起した。

一方で、金銭的価値に左右されないブランド価値についても言及した。今後のEC市場では、即納や送料無料に代表される機能的価値、金銭的価値に左右されずに購買機会を獲得するブランドロイヤルティの向上がさらに重要度を増すと考えられるとし、EC事業者は短期的な売上だけをKPIにするのではなく、中・長期的なLTVを計測し、それを高める施策の比率を上げてブランドファンを獲得していくのことが求められるとした。

「ECサイトで商品を購入する頻度」についてたずねた問いでは、月2回以上購入するユーザーは、モールが37.79%、自社ECが48.89%と、自社ECの方が10%以上高い数値となった。

【ECサイトで商品を購入する頻度は?[n=1000]】


モール部門と自社EC部門に興味深い差が見られたとし、プラットフォームのレギュレーションに左右されず、ブランドの世界観やUI/UX設計がしやすいこと、ECサイトを利用している消費者とのコミュニケーション自由度が高く、CRM施策を打ちやすいことが影響し、自社ECはブランドロイヤルティやLTVを上げやすいと推測できるとした。

「1度利用したECサイトを再度訪れるきっかけ」についてたずねた問い(複数回答)では、「商品が欲しいとき」が圧倒的な多数を占めた。その次の手段としては、SNSやLINE、アプリを抜いて、モール部門、自社EC部門ともに「メルマガ」がランクインした。

【一度利用したECサイトに再度訪れるきっかけは?[n=1000] (複数回答)】


SNS、LINE等スマホアプリが日常のコミュニケーションインフラとなっている中で、いまだにメルマガ経由でのサイト訪問や注文獲得は一定の成果が出ている。ただし、各流入経路の比率に大きな差がないことを考えると、ユーザーが自由に選択できるマルチなタッチポイントの構築は不可欠と考えられるとした。



また、圧倒的な来訪きっかけとなっているのが「商品が欲しいとき」であり、この消費者心理を生み出し、最適なタイミングでオファーできるかが、自社サイトへ訪問させる獲得競争となる。そのためにまず必要なのが顧客理解であるとの考えを示した。昨今ではこの顧客理解を加速するためにCDPの活用が注目されており、定量的・定性的な消費者データを集め、視覚化し、顧客の解像度を上げようと取り組むEC事業者が増加している。その顧客理解を通して、最適なセグメントに対し、より最適なタイミングでオファーしていくことに注力していく必要があるとの考えを示した。





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