2023.05.22

ユーグレナ粉末抽出物にインフルエンザウイルスの増殖抑制効果 ケルセチンとの共存で相乗的に増加と発表

ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地では、それぞれの成分を単独で含んだ培地と比較し、相乗的にインフルエンザウイルスの増殖が抑制された

ユーグレナはこのほど、武庫川女子大学の伊勢川裕二教授との共同研究により、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)粉末から熱水抽出した抽出物(以下:ユーグレナ熱水抽出物)によるインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が、ケルセチンとの共存により相乗的に増すことを確認したとし、2023年5月12~14日に開催された「第77回日本栄養・食糧学会」において研究成果を発表した。

ユーグレナは、2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っている。

呼吸器系の感染症を引き起こすインフルエンザウイルスは、ワクチンや数種の抗インフルエンザ薬が開発されていますが、新型ウイルスの出現や副作用などの問題があり、さらなる対策が求められています。

ユーグレナはこれまでに、「免疫力の低下」によって影響を受ける現象の1つであるインフルエンザウイルス感染症状について、主にユーグレナ特有の機能性成分であるパラミロンの作用によって、免疫伝達物質の産生促進を介して症状を緩和する可能性や、体内に摂取されたユーグレナの水溶性成分が既存の抗ウイルス薬とは異なるメカニズムでインフルエンザウイルスの増殖を阻害している可能性、並びにインフルエンザウイルスに直接作用するのではなく宿主細胞(感染される細胞)の防御機構を活性化している可能性を報告してきた。

今回は、ユーグレナと共存することで、インフルエンザウイルスの増殖抑制効果を増す成分の探索の一環として、抗ウイルス活性を持つ成分として報告されているケルセチンとの共存に関する研究を行った。

武庫川女子大学の伊勢川裕二教授との共同研究による本研究では、イヌの腎細胞にインフルエンザウイルスを感染させ、「ユーグレナ熱水抽出物を含んだ培地」「ケルセチンを含んだ培地」「ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地」「何も含まない培地(コントロール)」で各々培養を行った。

その結果、「ユーグレナ熱水抽出物およびケルセチンを含んだ培地」では、それぞれの成分を単独で含んだ培地と比較して、相乗的にインフルエンザウイルスの増殖が抑制された。

このことから、これまで確認してきたユーグレナ熱水抽出物によるインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が、ケルセチンとの共存により相乗的に増す可能性が示されたとし、2023年5月12~14日に開催された「第77回日本栄養・食糧学会」において、同研究成果を発表した。

ユーグレナは引き続き、体が本来持つ「つくる・はたらく・まもる」のサイクルを支えるユーグレナの可能性のさらなる解明と、ユーグレナおよびその含有成分の健康食品、医療分野等での利活用や食材としての付加価値向上を目指し、研究開発を行っていく考えを示した。




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