2023.03.27

大日本印刷、遠隔でも同一指標で色情報を共有できるサービスを開発 対象物の色情報をデジタル化

大日本印刷はこのほど、対象物の色情報をデジタル化し、離れた場所でも同じ指標で色情報を共有できる「DNPカラーコミュニケーションサービス」と、色をデジタル数値化して高精度の色判定を実現する「DNPカラー診断サービス」を開発し、提供を開始する。カラーマネジメ ント技術を活かしたサービスの提供で、さまざまな業界・業種の企業の新たな価値創出に貢献するとともに、各社のDX推進を支援する。

大日本印刷は、これまで培ったカラーマネジメント技術を活用し、印刷物のほか、スマートフォンやパソコンのモニターなど異なる機器でも同一の色を再現することで、遠隔地でも色情報の確認や判断を可能にする「DNPカラーコミュニケーションサービス」および「DNPカラー診断サービス」を開発し、4月よりの提供を開始する。

「DNPカラーコミュニケーションサービス」は、対象物の色情報をデジタル化し、離れた場所でも同じ指標で色情報を共有できる機能。専用カメラで撮影した対象物の色情報を照明環境等に依存することなくデジタル化し、そのデータに基づいて、あらかじめ機器差がないように調整したモニター上に、正確な色調で対象物を表示する。

さらに確認者の共通の指標として直感的に選べるカラーパレットを提示することで、遠隔でのスムーズなコミュニケーションを実現。 化学繊維・ヘルスケア・工業製品のメーカー等での商談や、工場への製造指示等に活用できる。

「DNPカラー診断サービス」は、色をデジタル数値化して高精度の色判定を実現できるサービス。大日本印刷は、長年に渡り様々な分野での色基準として活用できるカラーチャート資材を開発・提供しており、このカラーチャートを利用して対象物の色を正確にデジタル化し、「対象物の色が合っている/合っていない」などの判断を可能にする。



判定基準となる色を数値化し、データベース・判定ロジックを構築。環境光の影響を補正して撮影した対象物の色情報をデジタル化した数値と、目標とする色の数値を照合して確認することで、適正な色を判断する。

サンプル製品等の色調の優劣(対象物の色が合っているかどうか)について、即時の判断を可能にし、人の目や経験に依存していた色の判定をデジタル化することによって、品質の平準化を図ることができる。農業分野における作物の収穫時期の判定、食品・飲料メーカーや工業製品のメーカー等における、製品の色の検査などでの活用を想定している。

働き方改革等によってリモート環境が広がり、国内の労働人口が減少するなか、モノづくりやオンライン診療などにおいて、離れた場所の間で、より簡便に色情報を共有したいというニーズが高まっている。しかし色情報においては、照明やモニター等の機器の違いによる色の見え方の変化や人の主観で、同一のイメージが共有できないため、遠隔のモニターで色情報を共有する環境を構築することが難しく、これまでは同じ場所で対象物の色情報を共有することが主流となっていた。

こうした課題を受けて大日本印刷は、長年培った色設計や色再現技法等のカラーマネジメント技術を基に、デジタルでの色共有を可能にする「DNPカラーコミュニケーションサービス」と、デジタルでの色判定を可能にする「DNPカラー診断サービス」の開発に至ったとし、このようなDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、顧客企業等の色調管理のワークフロー設計や環境構築を支援する。

大日本印刷は、コロナ禍で工場での印刷立ち会いや顧客企業との対面による色調確認が困難になったことから、今回の技術を活用した「リモートでの色調管理」を一部で導入。その結果、色調確認のために工場に赴く時間とコストを大幅に削減できることがわかったとし、「DNP カラーコミュニケーションサービス」と「DNP カラー診断サービス」を含むカラーマネジメ ント技術を活かしたサービスの提供で、さまざまな業界・業種の企業の新たな価値創出に貢献するとともに、各社のDX推進を支援するとしている。

さらに本サービスを組み合わせたクラウド型汎用サービスとして、通信機能やデータ連動ができる運用体制等を構築し、2025年にその提供を開始するとともに、2025年で30億円の売上を目指す。




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