2023.03.26

シナブル×KASCADE×富士ロジテックHD「OMOで売り上げが上がる!」MAを活用したCRMのポイントをぶっちゃけトークで語りつくす<前編>


2023年の、小売業界やD2C・Eコマース・通販業界では、OMO/オムニチャネルへの取り組みへの関心が高まっている。コロナ禍を経て、顧客のリアル店舗への回帰の行動変化に対応しようという流れだ。ブランド全体としてCX(顧客体験)を重視することの大切さが実感されるようになっているようだ。CPOなどの、デジタルマーケティングコストは上昇しており、リアル店舗での顧客と関係を構築するメリットが再認識されている。ウェブマーケティング支援のシナブルでは今回、Z世代中心の購買行動に基づく「顧客基点のオムニチャネルブランドビジネス設計とMA(マーケティングオートメーション)運用」のポイントについて、本音でトークする対談を実施した。コマースコンサルティングを行う吉村 典也氏(Innovation & Communication 代表)がファシリテーター。CRMコンサルティングで実績豊富なKASCADEの執行役員である西部好範氏をゲストに迎え、MAを活用したCRMについて語りつくした。


リアル回帰でオムニチャネル・OMOがフォーカス


吉村(ファシリテーター)
:小売コマース業界で、CX(顧客体験)とCRM(顧客関係管理)について、事業者の課題やニーズはどのように変化していますか?

曽川:「OMO/オムニチャネル」という観点では、実店舗とEコマースの垣根を超えた、シームレスな顧客体験を提供することが求められています。購入後のフォローについても、シームレスに行っていく必要があります。

例えば、Eコマースとリアル店舗の顧客ID統合することにより、「実店舗とEコマースの両方で買ったことがある顧客(クロスユース)」と、「どちらかでしか買ったことがない顧客(シングルユース)」」を比較すると、ライフタイムバリュー(LTV)は、クロスユース顧客の方が、おおむね3~10倍、

あるいはそれ以上高いというデータがあります。

「クロスユース」を促進できる環境が整ってきていますが、着手できていない企業もあります。

西部:新規顧客へアプローチするためのコストが高騰していることから、CRMへの期待値がさらに高まっています。環境の変化が激しい時代ですから、成長スピードや経験値の蓄積に違いが生じることがあります。特に、社内でのコンフリクト(衝突)の調整や、期待値の共有などが、より必要になってきています。

私達は、各クライアント企業とKPIを共有管理して実行しています。スケジュールや目標額を設定し、経営者と話し合いを行い、すぐに実施可能な施策を「フェーズ1」として実行しています。6カ月後に「フェーズ2」を実行し、最終的な売り上げ目標を達成するための施策として「フェーズ3」を行います。「フェーズ1」から「フェーズ3」まで、1年間かけて行います。

「目標値を達成するために、施策をどれだけ実行するか」といった総合的なシナリオを作成するために、各クライアント企業と互いに協力し、プロジェクトを進めていくケースが多くなっています。

吉村:「売り上げ」は事業者にとって関心の高いテーマです。MAツールを導入してCRMの施策を実施すれば、売り上げが上がると思われがちですが、正しい考え方や、導入、運用方法について伺わせてください。

西部:まずは自社で「顧客体験」のスタンダードを作ることが重要です。競合他社が何をしているか調査しながら、具体的に顧客と商品を通じて、何を実現すべきかをデザインしていきます。

何をしていいのか分からない場合は、私たちのような企業に相談して、外部の知見を取り入れるのが良いと思います。まずは、自己学習や外部のコンサルタントの意見を聞いて、ノウハウをどうやって習得していくかを検討する必要があると思います。

よくある失敗の要因としては、調査をして実施する場合に、テクニック論に偏ってしまうことがあります。他社が行っている施策を追随しようとする「施策ドリブン」なアプローチは基本的にNGです。

商品やサービス、ターゲット層によって施策は異なるため、「その施策がなぜ行われているのか」「ターゲット層の悩み」、「商品・サービスとの関係性」などを理解する必要があります。

テクニックでなく、ストーリーやシナリオを含めたコミュニケーション設計を重視しているブランドは成長しています。

曽川:自社の顧客データを有効活用している小売事業者は伸びています。顧客データとは、属性データ、注文履歴データに加えて、ウェブやアプリでの行動履歴データも指します。

実店舗の会員とEコマース(EC)会員のIDを統合している場合、新規顧客を獲得するためのデジタル広告に注力している企業は多くないです。

小売り事業者は、新規会員の多くを実店舗で獲得しているからです。例えば、アプリのインストールを実店舗でお勧めしたり、LINEの友だち登録のお勧めしたりしています。

その上で、実店舗で会員になった人たちに対して、メールマガジンを送信してECサイトに誘導していることが、成功のポイントの一つです。

実店舗の会員がEC会員になる形で、ECの新規顧客を獲得する流れができあがっているため、広告費用を多くかけなくて済むのです。

失敗ケースとして多いのは、データの分析や集計だけを目的にしている組織や企業です。分析とは、何を見たいかによって示されるものが異なります。

データを使えば、自動的に事業改善の答えが得られるわけではありません。データを見る人が何を見たいか、そこから顧客の何を改善していきたいかについて、チェックする視点と体制が必要です。

分析する内容については、事業のフェーズで変わってきますので、外部パートナーに相談するなどして、視座と意識を変えていく必要があります。(つづく)

 

【プロフィール】
■シナブル クライアントコミュニケーション&マーケティング 曽川雅史部長

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大阪本社のクラウドCRMベンダーにて法人営業でトップセールスを達成後、同社のウェブマーケティングを担当。子会社では広告事業の立ち上げに奔走。その後2年間の個人事業主期間を経て、福岡本社のウェブコンサルティング会社へ入社。大手企業への法人営業に従事。2020年シナブル入社。これまでの経験を活かし、EC売上を向上するための顧客分析と施策提案を行っている。ウェブ接客やCRM、レコメンドエンジン、検索などの機能を一つのプラットフォームで提供することで、導入企業がデジタル施策を実現する労力やコストを削減することに貢献している。

▶シナブルのサイトはこちら

 
■KASCADE 執行役員 西部好範氏



2008年、テレビ朝日リビング(現ロッピングライフ)に入社。リサーチ、商品分析・顧客分析、システム、フルフィルメントを担当。データベースマーケティングの部署を立ち上げ、リテンションの仕組みを構築しその領域で売上10億円を達成。2020年、株式会社ライフェックスに取締役でジョイン、CRM領域の責任者として、スタートアップから大手のクライアントを60社ほど支援。2022年7月、MOLTSに入社。グループ会社のKASCADEの執行役員に就任。

▶KASCADEへの問い合わせはこちらへ(MOLTSの問い合わせフォーム)
 

■Innovation&Communication 吉村典也代表



製造業向けコンサルティング会社や外資系システム会社などを経て、コンサルタントとして独立。通販・Eコマース事業、CRM、フルフィルメントをWF設計・運用までを顧客視点・スタッフ視点で支援している。やずやグループが開発した「通販基幹CRMシステム」の外販導入サポート業務で出会った事業者の課題を通じて、日本のコマースビジネスには成長の可能性、未知のカテゴリーがあると確信。1社でも多くの企業の事業をグロースさせるためのアドバイスやサポートを実施している。

▶吉村氏が顧問を務める富士ロジテックホールディングスのサイトはこちら








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