2023.03.22

DINETTE 尾崎美紀氏「DMに返信するのもブランディング」 SpartyやPETOKOTOも競演【「D2Cフォーラム」ダイジェスト<第7回>】

D2Cの会に登壇したDINETTEの尾崎美紀氏


通販・D2Cのコンサルティングを手掛ける、売れるネット広告社はこのほど、(公社)日本マーケティング協会と共同で、「D2Cの会 フォーラム2022」を開催した。オルビスや北の達人コーポレーションなど、通販・D2Cを運営する企業の、社長や担当者が多数登壇した。本連載では、フォーラムで開催された講座のハイライトを紹介する。5つ目のセッションでは、電通九州の久米慶紀氏がモデレーターとなり、化粧品ECのDINETTE(ディネット)の尾崎美紀氏、パーソナライズシャンプー「MEDULLA(メデュラ)」を運営するSpartyの深山陽介氏、ペットフードのD2Cを運営するPETOKOTOの大久保泰介氏に売り上げをアップするブランディングについて聞いた。



新理論を作る


久米:パーソナライズのヘアケアやスキンケア、サプリメントを展開するSparty(スパーティー)の深山氏からブランディングの考え方について聞きたい。

深山:費用対効果などを考えると、本当にブランディングが必要なのだろうかという思いがある。しかし、老舗の通販企業が多い市場で、われわれのような新興企業は、やはりブランディングをしなければ勝負はできない。

顧客に対しては、「即時記憶」「フレーム・オブ・レファレンス」「期待値調整」「ルールの浸透」「破壊/報酬トリガー」「承認トリガー」という順で、ブランディングする必要があると考えている。例えば「即時記憶」においては、五感に訴える動画映えが必要になる。

とくに「色」は、顧客が食いつくポイントだ。「売り切れ感」や「行列感」で注目を集めることも必要だ。

当社であれば、既存の当たり前の理論ではなく、パーソナライズの新しい美容理論をいかに作ることができるか、「フレーム」をいかにずらせるかが重要な点だ。

もちろん、これだけでなく、「商品を何カ月使い続けることが大切ですよ」といった「期待値調整」、さらに「○○日までしか配送スキップできません」といった「独自のルール」作り、そしてご褒美を提供する。この繰り返しによって、ブランドのファンを作り、最終的には顧客がブランドのために何か貢献したいと思うまで、いかにして持っていくかが必要ではないだろうか。


1to1に注力


久米:
次に、コスメブランド『フィービービューティーアップ』を展開しているディネットの尾崎氏に、ブランディングについて聞きたい。

尾崎:ブランドをどのようにして大きくしていくかを考えたとき、PtoCのような形や、コアなブランド信者の影響力で、コミュニティーをいかに作っていけるかが重要だと考えている。当社は美容メディアからスタートした。

私自身がインスタライブを配信し、ユーザーにメディアを信じてもらうことでブランドを確立していった。最近では、某番組に私が出演した後、私自身がブランドの顔となって1to1の発信に注力している。

番組で商品に興味を持ってくれた顧客に向けて、SNSで商品説明やクーポン配布などをしっかり行っている。「ブランドの中の人が見える」という点で、他社との差別化になっていると考えている。

久米:SNSのDMも活用しているか。

尾崎:ブランドだけでなく、私自身のアカウントに届く多くのDMに対しても、きちんと返信をしている。商品に対する感想や改善点などを聞き、商品改良に生かすことができるため、F2・F3転換率も高くなっている。現在は、こういったファンコミュニティーに注力している。

久米:人気商品のまつ毛美容液の施策についても聞きたい。

尾崎:ブランドが発信したいことを広めていくためには、顧客をいかに巻き込んでいくかだと考えている。まつ毛美容液は当社の主力商品だが、育毛状態についてはなかなか実感することが難しい。そこで、目に当てればまつ毛の変化が分かる「winkカード」を同梱した。

こういった施策に興味を持ってくれれば、自分の体験を顧客自身がSNSで発信してくれる。それが、新規顧客につながるというスパイラルも起きている。








RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事