2023.03.03

電通「2022年 日本の広告費」、ネット広告14.3%増の3.9兆円に 総広告費は過去最高の7.1兆円

電通は2月24日、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2022年 日本の広告費」を発表した。2022年(1~12月)日本の総広告費は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、ウクライナ情勢、物価高騰など国内外の様々な影響を受けつつも、社会のデジタル化を背景に好調な「インターネット広告費」の成長に市場全体が支えられ、通年で7兆1021億円(前年比104.4%)となった。

電通は、2022年の日本の広告費についての調査レポート「2022年 日本の広告費」を公開した。2022年の総広告費は、通年で7兆1021億円(前年比104.4%)となり、コロナ禍前の2019年を超えた。さらにこれまで過去最高だった2007年の7兆191億円を超え、1947年に推定を開始して以降、過去最高となった。

【日本の総広告費の推移】



上半期は、コロナ禍からの回復に伴う行動制限の緩和や、北京2022冬季オリンピック・パラリンピックなどにより好調だった。下半期は、ウクライナ情勢や欧米の金融政策の転換による経済環境の大きな変化、新型コロナの再拡大などの影響を受けたものの、社会・経済活動の緩やかな回復に伴い「外食・各種サービス」「交通・レジャー」を中心に広告需要が高まった。特に社会のデジタル化を背景に、好調なインターネット広告費によって広告市場全体が成長した。

インターネット広告費は、3兆912億円(前年比114.3%)となり、2兆円を超えた2019年からわずか3年で約1兆円増加した。インストリーム広告を中心とした動画広告需要は前年に続き高まっており、デジタルプロモーションの拡大も市場の成長に寄与した。好調なインターネット広告の伸長により、2022年の総広告費は増加したとしている。

テレビメディア放送事業者が主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費(テレビメディアデジタル)のうち、テレビ番組の見逃し配信やリアルタイム配信サービスなど、インターネット動画配信の広告費を推定範囲とする「テレビメディア関連動画広告費」は、350億円(前年比140.6%)と高い伸びを示した。コネクテッドTVの利用拡大、大型スポーツ中継や話題性のあるドラマといった企画・編集力の高い番組コンテンツの充実などを背景に、広告需要が高まった。


媒体別広告費の概況


「日本の広告費」は、①マスコミ4媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算、それぞれの広告費には制作費も含まれている)、②インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合算)、③プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、DM<ダイレクト・メール>、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像ほかの合算)に大きく3分類されるとし、それぞれの概況をまとめた。

【媒体別広告費<2020年~2022年>】


マスコミ4媒体広告費は、2兆3985億円(前年比97.7%)だった。「ラジオ広告費」は増加したものの、「新聞広告費」「雑誌広告費」「テレビメディア広告費」は減少した。

インターネット広告費は、3兆912億円だった。前年に続く社会のデジタル化を背景に、前年比114.3%の2桁成長となった。総広告費における「インターネット広告費」(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合算)の構成比は43.5%となり、2兆円超えの2019年よりわずか3年で約1兆円増加し、3兆円規模の市場となった。「インターネット広告媒体費」は2兆4801億円(前年比115.0%)、特にコネクテッドTVの利用拡大を受け「テレビメディア関連動画広告費」は前年に続き350億円(同140.6%)と大きく増加した。「インターネット広告制作費」は、動画広告市場の拡大や運用型広告における広告制作数の増加などにより、4203億円(同109.2%)と増加した。また、「物販系ECプラットフォーム広告費」も引き続きの在宅需要の高まりに伴い、1908億円(同117.0%)と増加した。

なお、本調査における「物販系ECプラットフォーム広告費」は、「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体ではなく、物品販売を行うECプラットフォーム上において、当該プラットフォームへ“出店”を行っている事業者が、当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義している。

プロモーションメディア広告費は、1兆6124億円(前年比98.3%)だった。コロナ禍からの回復に伴い、行動制限の緩和や国や自治体による全国旅行支援施策の実施などもあり、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンが再開したものの通年では減少した。一方で、人流が戻ったことで「屋外広告」「交通広告」「折込広告」など前年を上回る媒体もあった。

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