2023.01.31

ウィルポート、宅配業界ラストワンマイルDX 「Polaris Navi」の運用開始 狭商圏の共同配送ソリューション

宅配業界を宅配DXで変革するウィルポートは1月27日、狭商圏共同配送ソリューション「Polaris Navi」の運用を開始した。今後確実に起こるであろう「物流クライシス」の環境下においても、荷主、ドライバー双方の負担を増やすことなく、サスティナブルな物流環境の提供を目指す。

ウィルポートが運用を開始した「Polaris Navi」は、配送システムをITで一元管理する独自のオープン型ラストワンマイルプラットフォーム。課題が集中するラストワンマイルシーンをDXで最適化することにより、荷主とドライバーのネットワーク環境を改善する。

共配機能を実装したTMSにより、クリーニングの個人宅からの集荷・配送、ネットスーパー商品、当日購入された商品の当日配送などの異なる荷物を同一エリア内にて共同配送できるという特徴を備える。また、4重、5重の多重下請け構造により、実配送しているドライバーの取り分が減る多重下請け構造をなくし、ドライバーの収入の安定化も実現する狭商圏共同配送ソリューションとなる。

厚生労働省の調査によると、トラックドライバー(中小型トラック)の年収は全産業平均年収と比較して68万円低い。一方で、年間労働時間は全産業業平均より384時間多く、法定基準を大幅に上回るケースも見られ、低賃金・長時間労働が常態化している。2021年4月における貨物自動車運転手の有効求人倍率は1.88で、全職業の0.94より約2倍高く、ドライバーのなり手が少ない状況がうかがえる。平均年齢も全産業平均より3.2歳高く、高齢化も懸念されている。

経済産業省の調査によると、宅配便の取扱個数は急伸しており、2021年までの直近5年で取扱個数が約9.3億個増加。2021年度の取り扱いは約49.5億個にのぼる。インターネットで商品を購入する消費者や企業が増えているにもかかわらず、ドライバーの人手不足などによって配送が困難になっている。 また、物流業界は、二酸化炭素(CO2)の排出量の多さが問題視されている。部門別で見ると国内の排出量の18.6%、約2割を運輸部門で占めており、多頻度小ロット配送による「積載率の低下」や「再配達」の増加などが要因と考えられる。    

こうした状況を受けウィルポートは、ラストワンマイルにおける宅配クライシスは避けることができないとし、急激な物流費の値上げや、数量規制などを除き、これらを解決する方法は物流現場のDX化とそれに伴う更なる効率化しかないとの考えを示した。

短時間で効率よく配送することができる唯一の方法を「狭商圏共配送」と考えているとし、これを実現「Polaris Navi」の提供に至ったとしている。

今回は、ドライバー向けの配送効率化に向けたサポートツール、ルート最適化、ナビ連携をリリースしており、来年度には、ドライバー向けのサポートツールのさらなる高度化、ドライバーカルテや荷主や配送会社の管理機能の強化をリリースする。さらに再来年度以降には、EVカーの転リースなどSDGsなど社会が必要としている機能を順次リリースしていく予定としている。

今回の運用開始にあたり、ウィルポートの藤原康則代表取締役は、ウィルポートは、スーパーなどに来店し、購入した商品を自宅まで届ける即日配送のサービスブランド「ブラウニーさん」を中心に配送の実績を積み、宅配ドライバーが効率的に配送するためのシステムを開発・運用を行ってきたとし、「近年日本の人口減少は社会や経済など、さまざまな分野に影響を及ぼす中で身近なスーパー、商店の廃業や多様な要因で高齢者だけでなく、都心の若年層でも買い物弱者は増えています」と話す。

地域の生活者の声に耳を傾け、買い物に限らず、物流視点から地域の課題を解決するソリューションを開発し提供することで、日常の生活に苦労している人が嬉しいと感じるサービスを提供し、地域で稼働する宅配ドライバーがこうした人々が望むサービスに応えられる存在でありたいと感じるようになったとし、そのために自社だけでなく、多くの宅配ドライバーに利用してもらえるよう、システムをオープンにしてプラットフォーム化を目指すことを決めたとしている。

「『Polaris Navi』は、生活者、宅配ドライバー、荷主さまの利益にもつながり、さらには社会課題解決の基盤にもなりうるポテンシャルを秘めているソリューションであり、当たり前に物が届く、持続可能な物流環境を狭商圏共同配送により実現することを目指し、アップデートをしながら提供価値を高めてまいりますので、今後のリリースにぜひご期待ください」とコメントした。

今後は、全国の荷主や中小の配送会社が参加できるオープン型ラストワンマイルプラットフォームを基盤としたビジネスソリューション開発を推進するとしている。




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