2023.01.24

「クーポン訴求のLPではCVRが2倍にも」ZENBJAPAN高橋氏×BELTA武川氏×インフィニタス・バリュー田村氏【「D2Cフォーラム」ダイジェスト<第6回>】


通販・D2Cのコンサルティングを手掛ける、売れるネット広告社はこのほど、(公社)日本マーケティング協会と共同で、「D2Cの会 フォーラム2022」を開催した。オルビスや北の達人コーポレーションなど、通販・D2Cを運営する企業の、社長や担当者が多数登壇した。本連載では、フォーラムで開催された講座のハイライトを紹介する。四つ目のセッションでは、福岡大学商学部の太宰潮教授がモデレーターとなり、デンタル用品D2Cを運営するインフィニタス・バリューの田村浩氏、MizkanHoldingsで廃棄野菜を使った加工食品のD2Cを展開するZENBJAPANの高橋宏祐氏、葉酸サプリのD2Cを運営するBELTAの武川克己氏に、広告運用の秘訣について聞いた。


エコ訴求で成功


太宰:
事業進展の初期としてインフィニタス・バリューの田村浩氏、中期としてZENBの高橋宏祐氏、長期としてベルタの武川克己氏に、順に話を聞いていきたい。まず、成功事例を共有するため、これまでの事業展開について田村氏から話をうかがいたい。


▲福岡大学の太宰氏

田村:私は、海外から仕入れた商品を日本でプロデュースする形で副業を始め、約2年前からD2Cでの事業展開を行っている。本日紹介する商品は、米国の「エレメンタ ナノシルバー マウスリンス」だ。むし歯の原因にもなりかねない酸性度が高い日本のマウスウォッシュと比較すると、この商品はアルカリ性であることが大きな特徴だ。

太宰:D2Cはどのようにスタートしたか?

田村:ツーステップマーケティングで500円モニターからスタートし、その後、100円モニター、アンケート型LPなどを試した。しかし、定期への引き上げ率が低かったり、解約率が高かったりといった状態だった。

そこで、100円モニターのアンケート型LPをイラストで表現してみたところ、引き上げ率が47%まで上がった。しかし、F2(2回目)での解約率が100%という結果だった。次に、F2転換率をアップするために同梱物を追加した。商品はステンレス製ボトルであり、詰め替えて使用するものとなっている。そこで、定期に引き上がった顧客に「エコ配送コース」として、お得でゴミの減少にもつながる詰め替えパックのチラシを同梱した。その結果、2カ月先、4カ月先の注文をとることができ、LTVが大幅にアップした。

エコ訴求の同梱物を入れながら、記事一体化型LPを制作したところ、年間ROAS(広告の費用対効果)が約451%になった。今後は、少しずつ広告費の予算を上げて、注文を増やしていきたいと考えている。


▲インフィニタス・バリューの田村氏


NPSを細かく分析


太宰:
次に事業進展中期として、ZENBの高橋氏にうかがいたい。

高橋:当社は、MizkanHoldingのベンチャー企業として2019年にスタートした。四半期に一度、ミツカンから資金を借りて事業を展開しており、常に資金繰りに苦労しているという点では、通常のベンチャー企業と変わりない。しかし、事業開始から3年5カ月で、販売数は730倍まで成長している。起爆剤となったのが、黄えんどう豆100%で作られた「ZENBヌードル」だ。

太宰:D2Cで販売するためにどのようなことを行ってきたか。

高橋:1~2年目は、D2C事業のビジネスモデルや技術的なことを経営陣に対して繰り返し説明していた。D2Cに詳しい人材が不足していたことも、大企業から分社化したベンチャーならではの課題だった。


▲ZENBJAPANの高橋氏

転換期となったのは、2021年に、主力商品の「ZENB ヌードル」でサブスクリプションを始めたことだ。現在は、サブスクリプション定期を主体として、定期コースの売り上げが全体の9割を占めている。

広告のLPでは、トライアル価格を表記するよりも、値引き率を表記した方が、反応がいい。ただし、度重なる値引きはいずれ飽きられるため、いかに値引きすることなく購入につなげるかについて、取り組んでいる。

また、クーポンの仕組みは重要だ。消費者は、「クーポンを使わなければならない」という心理が働くと考えられるからだ。クーポンをつかうLPでは、CVRが1.5~2倍に上がっていると思われる。

太宰:ほかに重視していることはあるか?

高橋:NPS(顧客推奨度)が重要だと考えている。毎日、商品や同梱物、味、作り方などに対してのコメントを見て、先回りでケアしていくことで解約率は下がっていく。現在の課題は、主にSNS広告のCPAが高騰していることだ。今後、いかに広告を使わずに展開していくかということに取り組み始めているところだ。

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