2023.01.24

【<記者座談会②>2023年のEC市場を読み解く】EC事業者に迫る課題は?「コスト高」「規制強化」にどう対応?

【円安物価高の影響は?】

コストコントロールの工夫必須


星野:2022年は物価高が進んだ。EC事業者への影響は?

佐藤:まず、冷凍食品は、業界全体で打撃を受けている。食品原料の調達において、物価高騰の影響を受けている。物流も同様だ。冷凍商品は輸送や梱包で値上げの影響を受けている。

ただ、今のところ、「価格は据え置き」という判断をしているケースが多い。実際問題としてかなり苦しいはずだが、シニア向けのサービスを提供しているところも多く、「年金で生活している人には負担はかけられない」という声もある。

店販の冷凍食品はほとんど値上げになっており、値上げしないことで差別化したいという考えもあるようだ。

星野:定期型通販の冷凍惣菜は、価格を据え置くパターンが多いと聞いている。

佐藤:ユニマット リタイアメント・コミュニティや、SOMPOケアフーズといった冷凍惣菜の通販企業では、利益は苦しいが価格はそのままという判断をしている。

冷凍惣菜のnosh(ナッシュ)にも取材したが、「値上げはしない」とコメントしていた。noshの場合、「物価の高騰を見据えて、値上げ前から調達していた」そうだ。

黒田:カニやコメなどの通販企業は、ほとんど値上げしている。「社内努力ではまかなえない」という声が聞こえてくる。

値上げをしつつも、梱包や物流など、従来よりもコストをかけない努力を実践しているようだ。

星野:値上げ幅は?

黒田:ある米菓の通販企業では100~200円値上げしている。100円値上げする場合は、端数を0にする施策も実施している。

三浦:コーヒーの通販では、他の食品よりもかなり早い段階で原料高騰の波が来ていた。2022年の春先の段階で、2021年比で、2倍ぐらいになっていた。

コーヒー業界全体で、2022年は、10~20%ぐらいの原材料の値上げが起きた。その後で、物流費などの値上げも発生している。

一度製品価格を値上げしているので、2回目の値上げには踏み切れないというケースも多いようだ。

星野:健康食品業界でも、原料高騰の影響はある。ホエイプロテインなどは、原材料のコストが2倍近くになっていると聞く。アルギニンという素材についても、プロテインと同様値上がりしていると聞いている。

三浦:ソイプロテインは、逆にそれほど上がっていないとも聞いている。

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