2023.02.06

【有識者に聞く!2023年の市場展望<越境EC>】ワサビ 大久保裕史社長「2023年の越境EC市場は楽観視できない」

ワサビ 大久保裕史社長


越境ECの支援業務などを手掛けるワサビの大久保裕史社長は、「2022年の越境EC市場は活性化したが、2023年は単純に楽観視できるわけではない」との見解を示す。大久保社長に越境EC市場の2022年の振り返りと2023年の展望などについて聞いた。


2022年を振り返ると、海外販売による流通額は、引き続き増加傾向にあった。長引くコロナ禍の影響で、2022年もインバウンド消費が回復せず、物品の売り買いはますますオンラインに移行した。もちろん円安により、日本国内メーカーや国内通販事業者が、海外販売に挑戦し始めたことも、流通額の増加につながった。

ただ、問題点もあった。ロシアによるウクライナ侵攻で、欧州方面に向けての航空便やEMS(国際スピード郵便)の一部において受け付けが停止した。海上輸送も貨物混雑で遅延が発生した。

このことに関しては国際物流のDHL(ディーエイチエル)やUPS(ユーピーエス)、FedEx(フェデックス)などは迂回(うかい)路を使用して輸送力の強さを発揮した。

2023年の越境EC市場は、2022年に市場に参入した事業者の越境EC事業が根付き、国内市場だけでなく海外市場を含めた事業展開が、より進むのではないかと推測する。だが、越境EC全体で見ると、決して楽観視はできない。

米国ではインフレ率が鈍化しており、中国ではゼロコロナ政策を緩和してウィズコロナの道を歩み始めたものの、再びパンデミックの兆しが見えている。中国の春節をきっかけに、また世界的なパンデミックが起こる可能性もあり、アジアのインバウンドの完全復活はまだ遠いのではないだろうか。

もしまたコロナが世界的に流行したら、物流や人材確保において混乱が生じる可能性は高い。

全世界規模のEC市場は、中国と米国市場が大きな割合を占めており、それぞれの地域の経済は非常に大きな影響を持っている。

いずれにせよ、コロナ禍でのEC業界の新規参入者も相次ぎ、国内だけでの販売だけでは限界がある。中国・米国を含めた状況を注視しながら、世界規模でのビジネスを展開させることが必要だろう。

商品で言うと、2023年はより一層、高級品に人気が集まるだろう。

2022年はロレックスが認定中古(CPO)を開始し、欧州で認定中古時計の販売がスタートした。高級腕時計専門店の「Chrono24(クロノ24)」も流通額を伸ばし、2023年も高級品とそれを取り扱う専用店舗に注目が集まると推測する。ロレックスの参入は他ブランドへも大きな影響を与えそうだ。





有識者24人のEC市場展望は▶▶https://netkeizai.com/articles/detail/7842







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