2023.01.19

【宅配水業界地図2023】プレミアムウォーターが市場をリード 各社が浄水サーバーを投入

2022年の宅配水市場では、給水型の浄水サーバーのニーズが拡大、各社が浄水サーバーを投入した。水宅配よりも安価に利用でき、置き場所にも困らない機種が多いことが、浄水サーバーの需要が拡大した要因だとみられる。水宅配については、業界最大手のプレミアムウォーター(PW)が新規顧客を順調に獲得し続け、PWの顧客件数は2022年9月末時点で151万件を超えた。その他の水宅配企業は、顧客数が横ばいとなっている模様だ。



【CONTENTS】
・宅配水市場規模は2000億円に プレミアムウォーター一強を浄水サーバー破れるか
・プレミアムウォータ―、宅配水顧客件数ナンバーワン アプリで水ボトルの配送管理も
・クリクラ、安心安全重視のフォロー体制 浄水サーバーで幅広いニーズに対応
・puhha(プッハ)、ポイントで家電も買える ビックカメラグループの水宅配
・フレシャス、給水型の浄水サーバーがヒット 1年半で顧客件数20万件に
・アクアクララ、ディズニーサーバーが人気 宅配ボックスで環境負荷軽減



宅配水市場規模は2000億円に




本紙ではこのほど、2021年の市場規模をベースに、各社の増収率などを考慮し、「2022年1~12月水宅配市場」の市場規模を推計した。

その結果、2022年の水宅配市場の推計規模は、前年比10%増の2000億円となった。

水宅配市場で、オンラインでの新規の申し込みの割合は、業界全体で10%程度だといえそうだ。各社は、グーグルやヤフーなど、さまざまな媒体に広告出稿している。

ただ、オンラインで申し込んだ顧客よりも、商業施設やホームセンターで行う催事ブースのデモ販売で契約した顧客の方が、継続率やLTVが高い傾向にあるようだ。

 

プレミアムウォーターが市場をけん引


市場規模が拡大している要因の一つは、最大手のPWの売り上げの拡大だ。

PWを傘下に持つプレミアムウォーターホールディングスの22年3月期の売上高は、前期比5.3%増の684億5200万円だった。2022年9月末時点のPWの保有顧客件数は約151万件だった。



▲プレミアムウォーターが提供しているウォーターサーバー


給水型の浄水サーバーのニーズの拡大も、宅配水市場の成長につながっている。

「フレシャス」ブランドで水宅配事業を展開する富士山の銘水(本社山梨県)では、浄水サーバーの提供開始から約1年半で、契約顧客が20万件を超えたとみられる。

「ハミングウォーター」ブランドのコスモライフや、「クリクラ」ブランドのナック、PWなども浄水サーバーを続々と投入している。大手各社の給水型の浄水サーバーが出そろいつつある状況だ


水宅配よりも安価な浄水サーバー


給水型の浄水サーバーのニーズが拡大している最大の要因は、料金の安さだ。浄水サーバーのレンタル代は、月額3000円前後。サブスクリプション型の価格設定となっており、水宅配よりも安価に利用できる。単身者層や高齢者層にも受け入れられている。

通常の水宅配は、12リットル入りの水ボトルを1本あたり2000円前後で提供しているケースが多かった。水ボトルを月2本以上使用することを契約の条件としているケースも多かった。

給水型の浄水サーバーは、水宅配と違い、重い水ボトルを設置する必要がない。水ボトルを受け取るタイミングを気にする必要がない点も、水宅配と比べたときのメリットになっているようだ。


▲「エブリィフレシャス」の浄水サーバーがヒット


ステマ広告に歯止めかかるか


水宅配業界では、アフィリエイトサイトを通じて、水宅配契約のステルスマーケティング(ステマ広告)を行うケースが多数みられる。

(一社)日本宅配水&サーバー協会によると、水宅配市場では、ランキングサイトなどのアフィリエイトサイトにおいて、特定の水宅配のブランドを、「売り上げ1位」「顧客満足度1位」などと表示するケースが後を絶たないという。こうしたアフィリエイトサイトでは、「顧客満足度1位」の根拠が希薄なケースも多いとしている。

関係者によると、ステマ広告を掲載するアフィリエイトサイトの、水宅配の契約1件当たりの獲得単価が、5万円を超えるケースも少なくないという。

消費者庁ではこのほど、ステルスマーケティングを景品表示法で規制する方針を示した。2023年中には法改正が行われ、違法な表示は措置命令の対象になる予定だ。

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