2022.12.20

Salesforce、サイバーウィーク統計を発表 世界のEC売上は過去最高の2810億ドル、15億人のデータを分析

米国セールスフォース(以下:米国Salesforce)はこのほど、15億人を超える買い物客のショッピングデータと独自の分析から得た、2022年サイバーウィーク統計を発表した。ブラックフライデーのオンライン売上高は全世界で653億ドル、サイバーマンデーは462億ドルに達したことなどがわかった。

米国Salesforceは、「Salesforce Customer 360」で収集した64カ国以上、15億人を超える世界中の買い物客の行動から集約されたデータと、Eコマース、マーケティング、カスタマーサービスにわたる活動の分析から得られた、2022年サイバーウィーク統計を発表した。

統計データは、今年のサイバーウィークのオンラインショッピング動向が、11月初めから購買行動が次第に活発化していった2020年と2021年のパターンとは全く異なっていたことを示しているとし、今年のデータによると、小売業者はサイバーウィークぎりぎりまで利益を損なう値引きを抑え、一方、消費者も最後まで最もお買い得な商品を探し続けた結果、米国のデジタル販売は最終的に過去6週間で最大のピークを記録したとしている。

2022年サイバーウィークにおける上位ショッピングインサイトとして、以下の項目をピックアップした。


オンライン販売とデジタルトラフィックは記録を更新


多くの小売業者が客足の減少を報告する一方で、サイバーウィークのオンライン販売高は全世界で2810億ドル(前年比2%増)、米国で680億ドル(前年比9%増)に達しました。見通しが難しい経済状況にもかかわらず、世界のオンライン売上高は過去最高額を記録した。欧州と英国の結果が景気の停滞を反映した一方で、米国の販売はサイバーウィーク全般を通じて世界のオンライン販売の伸びを押し上げる勢いを示した。


ソーシャルメディアからの流入による販売件数が過去最高を記録


サイバーウィークのECトラフィックの大部分(76%)はモバイルデバイス経由で、ソーシャルメディアからの流入による販売は約10%だった。これは前年比22%増で、Salesforceのデータによると、ホリデーシーズン中の販売率としては過去最高となった。


消費者と小売業者間の割引をめぐる駆け引き


ホリデーシーズンの序盤は振るわなかった割引率が、サイバーウィークに入ると急増し、全世界で27%、米国で30%とコロナ禍以前の水準を上回った。過去7四半期にわたって右肩下がりに推移してきた世界の平均販売価格(ASP)は、サイバーウィーク中に横ばいとなったが、2021年比で3%上昇。また、大幅な割引が消費者の購入を促した結果、サイバーウィーク期間中のカート放棄率は、その前の3週間と比べて世界全体で5%低下した。世界でもっとも割引率の高かった商品カテゴリーは、「一般衣料品」(34%)、「化粧品とスキンケア商品」(32%)、「高級ハンドバッグとアパレル」(26%)だった。


BOPIS(店頭受け取り)の利用が増加


利便性が最優先される中、消費者はBOPIS(オンラインで買った商品を店頭で受け取る)や、カーブサイドピックアップ(店舗の駐車場で受け取る)サービスを利用することで、長蛇の列を避けて商品を購入できた。11月の最初の3週間と比較し、木曜日から日曜日にかけてのサイバーウィーク中のBOPIS利用は、世界全体で9%増加した。サイバーウィーク中にBOPISサービスを提供した米国の小売業者は、BOPISを導入しなかった小売業者に比べてオンラインの売上高が38%も増加した。


消費者はBNPL(後払い決済)で資金不足を補う


インフレの圧力と家計の縮小の中で、米国の買い物客は購入資金調整のためにBNPL(後払い決済)などの代替支払いオプションを利用したとし、その結果、注文件数は前年比5%増加した。一方、平均注文額は5%減少している。これは2021年と比較し、より低価格の商品が売れたことを示している。


自動化により小売業者と消費者の時間を節約


小売業者が1年で最大のオンラインショッピングシーズンに備えて自動化を強化した結果、複雑な注文処理にかかるサービスエージェントの時間が節約され、顧客ロイヤルティを高めることができた。世界のチャットボットメッセージ数は、2021年の同日と比較して、ブラックフライデーで57%、サイバーマンデーで53%増加した。

これらのデータを受け、Salesforce リテール担当 バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー、ロブ・ガーフ(Rob Garf)氏は、「当初は精彩を欠いたホリデーシーズンのセールスも、サイバーウィーク突入後は小売店が販売活動を強化し、買い物客もそれに応えていきました。Salesforceのデータは、消費者が最もお買い得な商品を求めてぎりぎりまで購入決断を先延ばしにした結果として、割引率とデジタル販売件数の驚くほど強い相関関係を示しています。ホリデーシーズンも終盤を迎えると、小売企業は利益確保のために自動化サービスの利用を促すことで、業務効率と顧客ロイヤルティのバランスを取らなければなりません。店舗での商品引き渡しを強化し、サービスをパーソナライズし、返品を効率化する小売業者が勝者となり、今後もさらなる成功を収めるでしょう」とコメントした。

Salesforceは、世界中の小売業者が成功するよう支援し、あらゆる購買チャネルの顧客にリーチする取り組みの拡大に貢献したとし、Salesforceの顧客が11月中に1億1500万件以上の注文を処理したことを明かした。消費者のオンラインショッピング志向が続く中、早くて簡単でパーソナライズされたデジタル体験の提供がこれまで以上に重要となっており、それを実現する機能として、プラットフォームにインテリジェンスを組み込む「Einstein」(AI)、Eコマースプラットフォーム「Commerce Cloud」に加え、「Marketing Cloud」「Service Cloud」の自社サービスを挙げた。

2022年のサイバーウィーク中に買い物客が閲覧した「Einstein」ベースのAI駆動型商品レコメンデーション件数は19億件に上り、「Commerce Cloud」を利用した世界のデジタル販売高は、感謝祭で前年比7%増、ブラックフライデーで14%増、サイバーマンデーで10%増となったとしている。

また、サイバーウィークでは、世界のマーケティングコミュニケーションが急増し、「Marketing Cloud」経由で送信されたメッセージは約490億件と、前年比で20%増加した。モバイルプッシュ通知は前年比29%増、Eメールは20%増だった。「Service Cloud」のデータによると、サイバーウィーク期間中のサービスケースの作成件数は前年比23%増だった。また同じ期間中に1000万以上のチャットボットセッションが発生した。






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