2022.12.02

ザ・プラント、ECの最新動向について調査 2023年に解決したい課題1位は「デジタルマーケティング」

ザ・プラントは12月1日、企業のEC担当者が2023年に解決したいEC運営の課題、2023年に注目したい次世代テクノロジーについてたずねた「Eコマース最新動向 for 2023」の調査結果をデータアナリストの見解とともに発表した。課題には「デジタルマーケティング」、注目したい次世代テクノロジには「メタバース」の声が多いことがわかった。

大手企業向けシステム開発事業を手がけるザ・プランは、2022年10月26日~28日に千葉県の「幕張メッセ」にて開催された「第13回 Japan IT Week 秋」において、自社の特設ブース「EC CAFÉ by The Plant」に訪問した日本国内に本社を置く企業のEC担当者へ聞き取り調査を実施。「2023年に解決していきたいEコマース運営の課題」について200社から、「2023年に注目したい次世代テクノロジー」について315社から回答を得た。このほどそれを集計し、結果を公開した。

ザ・プラントは、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として、今後のECにおける施策展開に活用するための定点観測を実施。日本のEC事情における最新動向を考察することで、その成長に寄与する要因を分析している。

「2023年に解決していきたいEコマース運営の課題」についてたずねた問いでは、「デジタルマーケティング」(35.0%)の回答がもっとも多く、「UI/UX」(29.5%)「オムニチャネル」(15.0%)と続いた。



この結果を受けザ・プラントは、昨今のECは想定される顧客層の多様なニーズや流れの早いトレンドを掴み、デジタルを活用したマーケティングをいかに推進していくかで売上げが大きく変わっていくことから、2023年のECにおいてはデジタルマーケティングの積極的な活用とその戦略的なプランニングが求められるとの見解を示した。

UI/UXで悩む企業が多いことも判明した。UIはユーザーインターフェースの略で、サイト画面上で見るデザインレイアウト・色合い・文字フォントなどすべての情報をUIと言う。UXはユーザーエクスペリエンスの略で、利用者が商品やサービスを利用した際に得られる体験や経験(使いやすさ、使いにくさ、心地よさなど)を意味する。経路が複雑で分かりにくいUI/UXはシニア層にとっては扱いが難しく、直感や感性で操作をすることができないECは若い世代にとっては致命的な問題となる。これらの要因から2023年に重要になっていくであろうECの課題は、デジタルマーケティングとUI/UXの項目が大きく占めていくであろうと推測できるとしている。

「2023年に注目したい次世代テクノロジー」についてたずねた問いでは、「メタバース」(37.5%)の回答がもっとも多く、次いで「AI/ロボット」(25.1%)、「ブロックチェーン」(13.3%)だった。





この結果についてザ・プラントは、メタバースについては「詳細は分からないけど聞いたことがあるから」「メディアからの情報で何となく知っている」という「メタバース」に対するイメージが明確でない回答者が一定数いるものと考えられるとしている。

「AI/ロボット」については、ECにおいてマーケティングのオートメーション化によるトラフィック誘導が必須項目になっている傾向が見受けられるとした。マーケティングオートメーションは、売上の向上と業務の省力化を目的として、ECにおいて求められるマーケティング活動を自動化、効率化を図るための運営やテクノロジーでMarketing Automationの省略語としてMAとも呼ばれる。マーケティングのオートメーション化は、顧客や見込み顧客1人ひとりの興味や関心に最適化されたコミュニケーションが構築されることで、顧客との良好な関係構築を築くことができる。

今回の調査結果を受け、ザ・プラントのデータアナリストであるウォレス・チャン氏は、2023年に向けたECに関する市場分析を示した。

コロナ禍による規制が緩和され、消費活動が実店舗に戻る一方、コロナ禍で活発になったECの習慣(オンライン)は定着しつつある。例えば、オンラインにおける食品・小売はコロナ禍が始まって以来、全体として約15%の伸びを示している。さらにフードデリバリーサービスは、2019年には4172億円であった市場規模が、2023年には6821億円まで成長すると予測されている。また同時に、銀行などといったこれまで実店舗(オフライン)にしか存在しないと思われていた分野に、Eコマースが進出していることが見受けられる。

この流れを踏襲し、EC事業は2023年以降も成長を続けていく可能性が高いことがうかがえるとしている。この成長の機会をとらえ、優れたEC事業を実現していくためには、企業はオンライン・プレゼンスを強化するだけでなく、多様に変化する顧客の好みや期待に応えるために、「スムーズなオムニチャネル体験」「ニーズに合わせたUI/UX」「パーソナライゼーション」など多様な要素を駆使しながら、円滑な顧客体験を提供していくことが求められていくとしている。

「メタバース」は2023年に向けて多くの関心を集めているが、実はそのコンセプト自体は、2003年のセカンドライフや2006年のロブロックスといった、メタバースの原型となる世界まで遡ることができ、決して新しいものではない。メタバースは、普及の遅れ、実用的使用例の欠如、主なプレイヤーである巨大IT企業における昨今の著しい解雇状況を鑑みても、現在の形態が大きな牽引力を持つことは難しいと考えらるとの見解を示した。こうしたことから、2023年のより現実的かつ賢明なアプローチは、顧客のニーズをより直接的に解決することができる「既存テクノロジーへの投資」だとの考えを示した。

AIは、意志ベースのカスタマイゼーション、位置ベースマーケティング、そしてチャットボットなど、多くの実用的な実績を残しています。AI技術を駆使することで、企業はより精緻に顧客ターゲットを設定し、そしてより質の高いリードを獲得し、よりパーソナライズ化されたデジタルマーケティング体験を提供することが可能だ。さらに運用面においても、ビッグデータを活用した在庫管理、需要予測、最適化などに役立つ。AIは感情分析をすることも可能なので、顧客レビューの複雑なニュアンスをも理解し、問題や課題の原因、成功体験の要因まで特定していくができるとしている。

ザ・プラントは、今回の調査結果を踏まえ、引き続き、ECにおける国内外の動向を注視していくとしている。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事