2022.11.02

体験から紐解く「Z世代の購買実態調査」を公開 SHIBUYA109 lab.とCCCMKホールディングスが調査

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ) 」と、「Tカード」を起点とした多種多様なデータをもとにマーケティングソリューション事業を展開するCCCMKホールディングスはこのほど、Z世代の女性のファッション・コスメ・飲料に関する消費行動に迫る調査を実施し、レポートを公開した。無意識に膨大な体験を同時にしているZ世代は、購入までのプロセスが従来の直線的なモデルから、複合・複雑な回遊型に変化していることなどがわかった。

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する「SHIBUYA109 lab.」は、新しい世代に特化した若者調査機関。「SHIBUYA109」のターゲットである「around20」(15~24歳)を中心に、彼らの実態を調査し、「SHIBUYA109」独自の視点から分析している。

一方、CCCMKホールディングスは、約7000万人(2022年8月末時点)が利用し、全国5218社、14万6610店舗が参画する共通ポイントサービス「Tポイント」を軸とした多種多様なデータをもとにしたマーケティング・プラットフォーム事業を展開している。

このほど両者は、Z世代である15~24歳の女性の消費行動を定性調査およびWEB調査にて明らかにする共同調査「“体験”から紐解くZ世代の購買実態調査」を実施。ファッション・コスメ・飲料に関して、どのような“体験”がきっかけとなり購入に至り、リピート消費、ブランドのファン化につながるのかについて調査した。同調査の結果から、トライアル時の購買決定プロセスについて詳細に記載したレポートを11月1日に公開した。

Z世代に関する調査を日々実施している「SHIBUYA109 lab.」は、デジタルネイティブであるZ世代の消費行動が刻々と変化し続けている事を明らかにしてきた。これまでの調査においても、「膨大な情報に日常的に触れる」「インターネットで商品を購入する」「購入した商品をSNSに投稿する」など、購買に紐づく行動の変化を把握している。

今回の調査では、カテゴリをファッション・コスメ・飲料という日用品に絞りながら、「商品の購入」という切り口で彼らのインサイトを深堀りし、CCCMKホールディングスの保有する実購買データにも照らし合わせながら購買行動の実態を分析した。

SNSが普及した現代において、Z世代は日々大量の情報を浴びている。さらに情報量だけでなく情報の種類も以前に比べて多様化しており、既存の「マスメディア」や「リアル店舗」「OOH」のほか、「ネット(通販サイト等含む)」「SNS」「口コミ」など、チャネルも情報の特性も多岐に渡る。こうした環境において、デジタルネイティブであるZ世代の消費行動は、SNSなど特定の情報に偏るのではなく、多様な情報を組み合わせ、商品の認知、検討、購入といった行動に移しているのが特徴的であるとし、今回の調査ではそれらの商品・ブランドとの接点を「体験」と定義し、Z世代の購買プロセスを紐解いている。



Z世代の購買決定プロセスの特徴には、膨大な情報を日々受け取っている環境だからこそ“回遊型”になっている点を挙げた。従来の購買プロセスは、順を追って直線的にステップを踏むものが多く提示されてきたが、現代においては無意識に膨大な“体験”を同時にしているため、購入までのプロセスが複合・複雑な回遊型に変化しているとの考えを示した。



実際にグループインタビューでも、「ファッションは洋服を見るため商業施設を回っている時に、『そういえばこれ好きなインフルエンサーが着ていたブランドだ』と思い出して店舗に入る」「コスメはSNSや広告、友達の投稿などで見る機会が多いと気になる。買うかどうかはSNSや口コミアプリなどで検索して確認してから買う」「飲料はInstagramのストーリーズで友達の投稿を見かけたり、CMで見かけることもある。普段は意識していないが、店頭で『この飲料見たことある』と気付き、興味が湧く」などの意見が聞かれたという。

このことからも、友人の投稿、インフルエンサー・SNS上での口コミ、店舗での実体験など、膨大で多様な体験に高速で触れながら、「認知」「興味」「検索」「共有」といったフェーズをほぼ同時に、順番もランダムに回遊しながら経験し、購入に至っていることがわかるとしている。

「ファッション」「コスメ」「飲料」別に各カテゴリの購買実態について調査した結果では、購買行動はカテゴリによって異なることがわかったとし、中でも「トライアル」に焦点を当て、購入に至るまでの体験や、気持ち・行動の変化に迫った。

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ファッションに関しては、「ブランド公式ショップを訪れた」(24.6%)「Instagramを見た」(22.7%)といった体験をしているZ世代が多く、「Instagramの発見タブを見ている中で見かける。ブランドのプロデューサーの発信でブランドを理解することが多い」「商業施設を回っている時に『これ、○○さんのブランドだ』と気づいて入店することが増えた」という意見が聞かれたとしている。




外出の様子を友達と写真に撮り、SNSに投稿することも増えたことから、「ファッションは、遊ぶ人や遊ぶ場所に合わせて選ぶ事が多い」という声も多く、自分のSNSアカウントの世界観にファッションが合致するかどうかも洋服を購入する基準として重視されている。実際にデプスインタビューでは、「お店や洋服の世界観が自分に合っていると、そのブランドのことが気になる」などの意見が聞かれ、ブランドの世界観を理解するために、SNSでどのような写真が撮影されているかをチェックしているという。さらにリアルな店舗での試着や店員の話から、着るイメージをより明確にし、商品購入に至っているとし、「店員と話すと新しいコーディネートの提案や、自分では気づかなかったその商品やブランドの良さを知ることが出来る」といった声を紹介した。

コスメについては、購入前の情報収集が最も熱心に行われていたカテゴリであるとし、「Instagram」(35.4%)や「動画配信サービス」(26.4%)、「口コミサイト・アプリ」(19.4%)などインターネットメディアを積極的に活用して、口コミをチェックしているようだとしている。



デブスインタビューでも、「普段から情報収集している」という声が多数聞かれ、「コスメは発色や落ちにくさが重要。Instagramでは画像、TikTokでは動画でそのメイクの発色などを確認している。口コミアプリではパーソナルカラーや肌質などが自分と同じ人、かつ複数人の意見を確認する」など、各ツールの特徴を理解しながら必要な情報を収集していることを特徴に挙げた。「コスメはテスターを直接試せないことも多いので、SNSを使って他の人の使用感を見る。ファッションにおける試着の代わりをしているイメージ。そのため、オンライン上の情報で買うものはほぼ決まっており、店頭で最終確認をする。安ければECで買うことも多い」といった意見も聞かれたとしている。

その他、「自分が一重なので、一重の人が発信している動画配信サービスを見ることが多い」「好きな顔の人がいると『○○(タレント名) コスメ』と検索して使っているコスメを探すことがある」「地雷系メイクは地雷系のまとめアカウントから調べている」など、自分の顔の特徴や理想のテイストをしっかりと把握して、情報収集していることもわかった。

飲料については、購入頻度は高いものの「調べることは少ない」という声が多く、定量調査でも「量販店を訪れた」(50.0%)体験が圧倒的多数となった。デプスインタビューにおいても、「店頭に行って買うものを選ぶ。同じものばかり買うと面白くないので、ローテーションで『今度はコレ買おう』と店頭で決めて買う。新商品はすぐ買ってしまうこともある」「毎朝お茶を買う。お茶は気分で買い分けている」といった意見が聞かれた。



商品を選ぶ基準として、「パッケージのデザインや文面をSNSで見たことがあると目に付きやすい」「失敗したくないので、味のイメージが出来て美味しそうだと確信を持てるものを買う」「健康に良いなどメリットがあるもの、友達と話のネタになりそうなものは買いたくなる」という声を紹介した。
11月25日には、今回のレポートで紹介しきれなかった「商品リピート」「ブランドリピート」に繋げていくために必要な“体験”や、ブランドのファン化に必要な“体験”について詳細に解説する「“体験”から紐解くZ世代の購買実態調査」結果報告セミナーをオンラインにて開催。



支出とカテゴリの購買頻度、情報接点やSNSの使い分け、購買プロセスの変化などZ世代の実態から、Z世代の“体験”を解き明かす気持ちや行動の変化、Z世代を繋ぐマーケティングアプローチなどについて解説する。

参加費は無料で、CCCMKホールディングスサイト内の専用フォームにて申し込みを受け付けている。




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