2022.10.24

「KARTE」と「FULL KAITEN」がプロダクト連携 小売企業の在庫問題を解決する新ソリューション提供

CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供するプレイドは10月24日、在庫を効率よく利益に変えるクラウドシステム「FULL KAITEN」を開発・提供するフルカイテンとの協業を強化した。両社のプロダクト連携によるソリューションの提供を開始し、小売事業者の在庫課題の解決に取り組む考えを示した。プレイドは本協業を通し、マーケティング領域で先行して活用が進むカスタマーデータを企業の幅広い事業領域の中でも活用可能にし、顧客中心の新たな価値創出を目指す「PLAID Ecosystem」の構築の加速を図る。

プレイドは、Webサイトやアプリを利用する顧客の行動をリアルタイムに解析して1人ひとり可視化し、個々に合わせた自由なコミュニケーションをワンストップで実現するCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を提供。あらゆるデータを個客軸で統合・解析することで圧倒的な顧客理解を可能とし、エンドユーザーにおける体験価値の向上を支援している。

このほど、小売企業が在庫を効率よく利益に変えることを支援するクラウドサービス「FULL KAITEN」を手がけるフルカイテンとの協業を強化した。「FULL KAITEN」は、在庫分析を完全自動化することで、不要な値引きの抑制によるプロパー消化率の改善や客単価の向上、欠品防止などを実現。これらを通して在庫効率を向上させ、売上・粗利・キャッシュフローの増加に貢献している。

今回の協業の強化により、「KARTE」と「FULL KAITEN」両プロダクトのデータを組み合わせることで、主に小売企業向けの在庫管理最適化と顧客体験の向上、その結果として売上拡大と利益の最大化を支援する。

具体的には、「FULL KAITEN」により在庫データや売上データを集計・分析、販促を強化することで、値引きせずに販売できる可能性のある「隠れた売れ筋商品」や、ロイヤルティの高い顧客に支持され、客単価の向上に貢献する商品などを抽出。「KARTE」の解像度高い顧客理解に基づき、「FULL KAITEN」抽出した商品と親和性のある顧客に向けて、パーソナライズした商品提案を行うことが可能だ。

プレイドとフルカイテンでは2022年2月より、複数の企業の協力による共同実証実験を通じて、両者のプロダクトのデータ連携活用の効果検証を実施。共同実証実験において効果検証ができたことに伴い、より多くの小売企業の課題解決に貢献するために、連携強化の実施に至ったとしている。

共同実証実験に参加したアーバンリサーチでは、「FULL KAITEN」を活用して在庫分析の結果可視化した「隠れた売れ筋商品」を「KARTE」を活用して最適な顧客に届ける独自レコメンド施策を実施。アーバンリサーチが「KARTE」で通常実施しているレコメンド施策を比較したところ、購入金額119%、粗利率115%CVR131%、平均来訪単価160%の効果が確認。売上や粗利率の改善につながった(調査期間:2022年6月30日~8月10日)。この成果をサイト全体に適用すると、単月で5300万円の在庫削減効果があると推計できるとしている。

同実験への参加にあたり、アーバンリサーチ 執行役員デジタル事業本部デジタル営業部 部長 齊藤悟氏は、同社にとって深刻な経営課題となっていた在庫問題について、値下げで在庫を解消するのではなく、プロパー価格での購入を促すことで粗利を改善するとともに、顧客との継続的な関係づくりによるLTV(顧客生涯価値)向上を図ることで事業成長を推進する必要性があったと話す。


▲「FULL KAITEN」を活用してアーバンリサーチの在庫分析。「隠れた売れ筋商品」を可視化

「今回のPoCを通じて、在庫分析データで『隠れた売れ筋商品』を可視化する『FULL KAITEN』と、リアルタイムかつ解像度高い顧客データ解析を可能にする『KARTE』によって、これまで光の当たりにくかった商品も、それを買いたいと思うお客様やLTVが高いお客様にお届けすることができるようになりました。粗利率の改善だけでなく、環境負荷低減への配慮も弊社の、ひいては業界の課題といえます。『KARTE』と『FULL KAITEN』の連携ソリューションは、在庫ロス削減による持続可能な事業展開にも貢献するものです」とコメントした。


▲アーバンリサーチECサイト内で「KARTE」を活用して「隠れた売れ筋商品」を最適な顧客にレコメンド

今回の取り組みについてプレイドは、企業の経営課題であるSDGsやESGの取り組みも支援するとしている。SDGsへの関心と実践の広がりに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、普段の買い物や消費に対する生活者の意識にも変化が生じていることが確認されており、ボストンコンサルティンググループの調査によれば「地球温暖化/気候変動に向けて実践していること」として、「あまり余計なモノを買わずに、必要なモノだけで生活する」を挙げる人が69%いた。

在庫の適正化による効率的な資源の活用だけでなく、「消費に対して慎重になり、自分にとって本当に必要なものを買う」というサステナブルな消費に関心の高い今の生活者動向を捉えて、その人に合った精度の高い商品提案を展開することで、SDGsの「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」という目標の達成に貢献するとしている。

プレイドは、これまでマーケティング領域で先行して活用されてきたカスタマーデータの活用可能領域をパートナー企業と共に拡大し、企業の事業活動における広い領域で顧客中心の新しい価値創出を促進する取り組み「PLAID Ecosystem」を展開している。「KARTE」を通じて自社が培ってきたリアルタイムにカスタマーデータを解析・活用する基盤技術や、プロダクト開発、事業化に関する知見などを活用することで、パートナー企業とのビジネス共創アライアンスによる共同事業化やソリューション開発を推進し、顧客中心の企業活動の実現を支援するエコシステムを構築していく考えを示した。




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