2022.09.16

消費者庁、12月めどに規制の方向性取りまとめへ ステマ広告の検討会初会合を開催

会合の様子

消費者庁は9月16日、ステルスマーケティングに関する検討会の初会合を開催した。会合の冒頭で、河野太郎消費者担当大臣は、「ステルスマーケティングが、消費者の商品選択を困難にしているという指摘がある。必要であれば規制も当然ある。検討会では年内に一定の結論を出してもらう」と発言した。

検討会では今後、事業者にヒアリングなどを行い、11月の会合で論点を整理。12月をめどに報告書の取りまとめを行う予定だとしている。初会合では、消費者庁がインフルエンサーのステマ広告に関する実態調査について報告するとともに、不正な商品レビューに関する実態についても報告した。


インフルエンサーの4割がステマ依頼される


会の冒頭に登壇した河野大臣は、「世の中のデジタル化の拡大に伴い、ウェブ広告は広告分野のメインプレイヤーともいえる。その中で、広告だと明示されないステルスマーケティングによって、消費者の商品選択が困難になっているという指摘がある。消費者庁の調査では、インフルエンサーの約4割が、ステルスマーケティングを依頼されたというデータもある。依頼されたインフルエンサーの認識に幅があることも分かっている」と話した。

河野大臣は、「デジタル広告の健全な発展のために、必要であれば何らかの規制も当然されるべきだ。検討会では年内に一定の結論を得てもらう」とも話した。

検討会で提示された、消費者庁の資料によると、消費者庁がこのほど行った「ステルスマーケティングに関する実態調査」では、米国やカナダ、フランス、イタリア、ドイツなど9カ国の中で、ステルスマーケティングに関する何らかの規制がないのは、日本だけだったとしている。

消費者庁が行った調査では、約300人のインフルエンサーに対して、アンケート調査も行った。インフルエンサーに、「広告主からステルスマーケティングを依頼された経験はあるか」という質問を行ったところ、41%が「ある」と回答。そのうち45%が「依頼を受けた」と回答したとしている。

不正レビューについては、不正レビュー事業者が商品を購入した消費者に対して、商品代金を負担してレビューを投稿してもらう手口があることも紹介。販売業者と消費者をマッチングさせる不正レビューのプラットフォームが存在することも報告した。


「基準を明確化」「実効性のある規制を」


検討会に参加した委員からは、ステルスマーケティングに関して、さまざまな意見が聞かれた。新経済連盟事務局制作部の片岡康子委員は、「ステルスマーケティングの規制で、一般人の発信にも影響がある可能性がある。規制する行為を明確化すべきだ。具体的にどのような表示がステルスマーケティングに当たるのか、議論すべきだ」と発言した。

弁護士の壇俊光委員からは、「今はステルスマーケティングの規制をすべきかどうかを検討するよりも、どれだけ実効性がある規制ができるか、検討すべきである。定義を議論している段階ではない」などといった意見も上がった。




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