2022.07.27

「@cosme」、化粧品の広告モデルの多様性に関するアンケート実施 約65%が多様性を感じられるモデル起用に好感

アイスタイルは7月22日、化粧品・美容の総合サイト「@cosme」で実施した「化粧品の広告モデルに関するアンケート」の調査結果を公開した。多様性の尊重を感じさせる広告などについて尋ねており、多様性に対する感度は若年層ほど高く、約65%の人が多様性を感じられる広告モデルの起用に好感を持っていることなどがわかった。

昨今、化粧品の広告には、いわゆる有名女性モデルやタレントだけでなく「性別、国籍、職業、知名度」などを問わない様々な人たちが起用される機会が増えている。アイスタイルでは、その背景には男性化粧品ユーザーの増加や、「人や国の不平等をなくそう」といったSDGsの取り組みに力を入れる企業が増えていることなどが挙げられるとし、「化粧品の広告モデルに関するアンケート」を実施。生活者が、「広告モデル」から企業の「多様性を尊重する」というメッセージを受け取っているかなどに迫った。

同アンケートは、「@cosme」のプロデュースメンバーである15~59歳の女性9513名を対象に、2022年3月28日~30日に実施した。

化粧品広告にどういった人たちが起用されていると「多様性が尊重されている」と感じるかを尋ねた問い(複数回答)では、「様々な人種・国籍の人」「様々な顔立ち(まぶたの形や顔の大きさ、にきびやそばかすがあるなど)の人」が、それぞれ6割台半ばと多くの回答を得た。次いで「標準体型でない人」「男性」「LGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クエスチョニングの総称)の人が」5割台で続いた。



この回答を年代別に見た結果、若年層でより多様性に関する感度が高いと思われることがわかった。同調査では、普段多様性をあまり意識していない人たちの存在を考慮し、「分からない」という選択肢を用意している。結果をみると「分からない」の選択者は、全体の1割強となり、一定数存在することが分かった。その比率は若年層になるにつれ減少傾向がみられ、学校教育でSDGsについて学ぶ機会も増えていることなどが、若年層の多様性に対する感度を押し上げているのかもしれないと推察している。



また、僅差ではあるものの、10代、20代では「多様性が尊重されていると感じる」との回答が多かった上位2項目に、「様々な顔立ち」がトップにあげられるなど、全体傾向と異なる点があることに注目。若いうちは、まだ自分に合ったメイクやスキンケアが分からないという人たちも多いことから、いろいろなタイプの顔立ちの方が起用されることで、自分が使用している姿をイメージしやすい、ターゲット外と排除される気持ちが起きにくいのかもしれないとした。「男性」についても他の年代より上位に位置しており、ポジティブに受け入れられている様子がうかがえるとし、「Z世代を含む10代、20代の回答傾向は全体傾向と異なる」ことがわかったとしている。

「こうした人たちが起用されている化粧品の広告を見たことがあるか」の問い(複数回答)では、「見たことがある」が50%を超えたのは、「様々な人種・国籍」「男性」が起用されている広告の2項目のみだった。また、「標準体型でない」人(プラスサイズモデルなど)、「LGBTQ」の人、「ハンディキャップ、障害をもつ」人の3項目については、平均を下回った。これらのことから、多くの人が広告モデルから「多様性を尊重する」というメッセージを受け取っている一方で、これらのモデルが起用されている化粧品の広告を目にする機会は少ないことがわかった。



化粧品広告にどういった人たちが起用されていると「多様性が尊重されている」と感じるかを尋ねた問いで示した7つの選択肢のいずれかに対し、「多様性が尊重されていると感じる」と回答した約85%の人を対象に追加の質問も行った。

こうした人たちを広告モデルに起用している「ブランドや企業を応援したいと思うか」という問いに対しては、「そう思う」または「ややそう思う」と答えた人が64.7%だった。これに対し、「商品を購入したいと思うか」に関して、「そう思う」または「ややそう思う」と答えた人は41.1%に留まった。このギャップの要因には、商品購入時は「効果感」や「使用感」など、商品選択における重視項目が増えることなどが挙げられそうだとしている。



この問いの結果を「応援したい/かつ購入したい」と思う人たちのグループ(A)と、「応援したい/が購入は別」と思う人たちのグループ(B)に分け比較したところ、グループAではやや年代が若く、「化粧品を選ぶ時は、環境への配慮やSDGsへの取り組みを重視する」といった嗜好性を持つ人が多い傾向が見られた。

グループAとBで最も違いがあったのは、広告モデルの起用において多様性が尊重されている広告に対して、自分らしさや人それぞれの美しさを尊重しているように感じる」かどうかについての回答だった。グループAでは「そう思う」の回答が64.7%なのに対し、グループBは42.2%だった。



また、最初の問いで示した7つの選択肢の人たちが起用されている広告に対し、およそ3割の人が、「『多様性を尊重する』という価値観を押し付けられているように感じる」と回答しており、その比率が若年層でより高いことは興味深い点だとしている。

「多様性の尊重」というと誰もが使えるようなブランドや商品をイメージしがちだが、「可愛いだけでなくかっこいいキャッチコピーやネイビーなどのかっこいい色を使った広告が増えたと思います。しかし私は可愛いコンセプトを持ったブランドも好きなので、そういったブランドはあまり多様性を追求しすぎずブランドのコンセプトを維持していって欲しいと思っています」などの口コミに見られるように、「あらゆる価値観を認めること」こそが重要であると再認識させられるとした。

多様性を尊重する流れは、今後もより進むことが予想されるが、企業には生活者の意識の変化や知識の深まりを踏まえ、自身のブランドのメッセージをアップデートしていくことが求められる推察している。




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