スキンケア用品や食品のECと卸を手掛ける椿は、自社ECサイト「ジャポネイラ」を運営している。「ジャポネイラ」を含む、2019年12月期の通販売上高は、前期比58%増となった。3~4年前から前年比約5割増収のペースを維持しているという。芸術活動のイベントを通じたサンプル配布など、地道なファンマーケティングが奏功している。
主力商品は保湿用椿オイルの「生の椿油」。独自の非加熱製法にこだわった保湿用品で、メインターゲットは40代以上の女性としている。
「商品力に自信がある。手に取ってもらい、質の良さを分かってもらいたい」(業務部)という思いから、顧客向けの芸術活動を開催する際にサンプルを配布している。
芸術活動として、弦楽四重奏のコンサートを年に2回、オペラのコンサートを年に1回開催し、アマチュアの楽団などを誘致している。顧客の参加は無料で、1回に約200人の観客が来場する。
既存顧客は知人を連れて参加できるようにしており、サンプル品の配布が新規顧客拡大につながっているという。
「弦楽四重奏」芸術活動は今年で19年目。日原社長が宮沢賢治の考え方を大切にしていることから、農業と芸術の融合を重視。これを経営に生かしている。芸術活動だけでなく、農業も手掛けている。自社農場で椿の農業研究や実験を行っている。
保湿や乾燥ケアの需要が高まることから、秋から冬にかけては、リスティングなどウェブ広告を通じた商品の訴求を強めている。
今後はリピーターの育成に力を入れていく方針。早ければ5月下旬には、「ジャポネイラ」に定期販売機能を追加する予定だ。申し込んだ顧客を対象とした割引販売などを検討している。
新型コロナウイルス感染拡大によるECへの影響は現在のところ出ていない。ただ、卸売りの売り上げは打撃を受けている。卸売り先の東京・伊豆大島の「椿まつり」に来る観光客が減少していることが要因だ。
2020年はリアルイベントを通じた顧客体験活動の開催を増やす計画だったが、新型コロナの影響により、足踏み状態を余儀なくされている。
認知拡大のための施策として今後、新聞広告など紙媒体への広告出稿を行う考えだ。
「ジャポネイラ」