2022.07.18

【連載<第2回>】これからの商品開発は「コト」づくりから~ブランドアイデンティティの構築~

ブランド・アイデンティティを構築してコト消費を創出

私、工藤一朗(くどう・いちろう)が代表取締役を務める株式会社ライフェックスはこれまで通販・ECをはじめとした数多くの企業のブランディングの構築から新規獲得、CRMまでを、一気通貫で支援し、成功に導いてきた。この連載では、アフターコロナの新規獲得に関するノウハウを、余すところなくお伝えしていきたい。

前回は、時代の変化により求められる広告表現について述べた。第2回目の今回は、今後の商品開発における必要なブランドアイデンティティについてお話していく。


プロダクトアウト・マーケットイン


前回も触れたように「プロダクトアウト」は、価値のあるモノを作ったあとに売り方を考える手法、「マーケットイン」は市場やニーズを探ってからモノを作る手法である。

これらは誰が商品企画・開発をするかによって、プロダクト寄りかマーケット寄りになるかが変わってくるといえる。


【前回記事▶▶https://netkeizai.com/articles/detail/6481

 
例えば、OEM(他社ブランドの製造)の工場を持っているような企業が商品開発をしたら、当然ながらプロダクト寄りになる。広告代理店などが商品企画をしたら、マーケット寄りに商品開発が進んでいくケースが多い。

具体的にいうと、プロダクトアウトの視点では成分のスペックなどを考えて、どのような成分を配合して「いいモノ」を作るかを考える。一方マーケットインの視点では、今現在流行している成分や表現を取り入れる。そのため、それに合った企画や商品を作る、という考え方だ。

両者は「いいモノを作る」という点は共通しているが、「いいモノ」の定義には違いがある。

プロダクトアウトにおける「いいモノ」とは、効果効能や体感をしっかり出せるもの。マーケットインにおける「いいモノ」とは、売りやすいもの・新規がとれるものである。このように同じ「いいモノ」でも考え方により定義が異なる。

だが、どちらも顧客が求めている「いいモノ」とは限らない。前回話したように、どちらの手法がベストであるかではなく、顧客が何を求めるかという視点に立ち、プロダクトアウトとマーケットインの両輪で考えることが大切である。

 

BI:ブランド・アイデンティティの構築


これからの商品開発には、プロダクトアウトとマーケットインのほかに、ブランド・アイデンティティ(以下「BI」)の構築が必要であると考える。BIとは、商品のブランドの特徴や個性を提示して、顧客に共通認識(ブランドイメージ)を持たせることをいう。当社では、ブランド戦略、ブランドメッセージ戦略、ブランドイメージ戦略の3つから構成される26個の構成要素を言語化し、BIを構築している。

しっかりしたBIを構築するためにも、商品に対する熱量やオーナーがどういう想いで企画しているのかというブランド理念を考える必要がある。

企業が限られた時間や商品開発の計画の中で、このような熱量をキープして取り組むことはなかなか難しい。しかしながら商品企画に必要なのは、しっかりしたBIを構築し、商品の内側(プロダクトアウト)を外側の部分(マーケットイン)を並行でやっていくことだ。

BIには、プロダクトアウトとマーケットインの概念がちょうどバランスよく含まれている。BIの考え方には、プロダクト寄りの考え方をまとめる項目と、マーケット寄りの考え方をまとめる項目が、何項目にも細分化されている。

例えば、プロダクトの視点であれば、商品の優位性を示したUSP(独自の強み)などがある。マーケティングの観点では、市場内ポジションやブランド属性が挙げられる。

BIを構築することで自ずとプロダクトアウトとマーケットインの要素がバランスよく組み込まれていくことになるのだ。

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