2022.07.15

急拡大の『菓子EC』注目株に迫る!「Cake.jp」「パンスク」「もち吉」の戦略とは?


「Cake.jp」、毎年60〜70%増収 ケーキの固定概念変革へ


シュゼットHDのほか、各地域で人気の洋菓子販売店もEC業界に参入している。菓子EC業界の中でも、特に洋菓子部門の競争が激化している。その中でもケーキのEC事業を展開するCake.jp(ケーキジェーピー)の成長が群を抜いている。

Cake.jpの2021年12月期のEC売上高は、本紙推定で前期比60%増の22億円だった。「ケーキの固定概念を変える商品開発」と「コロナ禍での新たな需要の発見」に注力して、増収を維持してきた。

コロナ禍の2020年から、毎年60〜70%ほど増収を記録しており、今期も前期比60%増の売上高で着地する予定だという。

髙橋優貴社長によると、「ケーキに関しては、消費者のケーキに対する固定概念を変えることが必要だった」と指摘する。


▲髙橋優貴社長

「ショートケーキといえば、生クリームに覆われていて、イチゴが一番上に乗っているものという概念が現代まで長らく浸透しているのが謎だった。ケーキの固定概念を変えられれば、新たな顧客層を獲得できる。ビジネス的にもここに着手すべきだと感じた」(髙橋社長)と説明する。

そのため、市場に出回っていないケーキとは何かを調査し、2020年にはメロンの中身をくり抜いて、中にスポンジケーキや生クリームをミルフィーユ状に詰め込んだ商品「まるごとメロンケーキ」を発売した。


▲「まるごとメロンケーキ」

斬新な見た目から購入者がSNSで商品写真を投稿し、それを見た投稿者が購入するという流れが起こった。テレビやウェブメディアなどでも紹介され、「商品力」が認知度拡大につながったという。「まるごとメロンケーキ」は2022年6月時点で累計2万個以上を販売している。

Cake.jpは消費市場の動向を調査し、コロナ禍にオンライン活動が活発化していることに、勝ち筋を見いだした。

近年、現役アイドルがインスタグラムやSHOWROOM(ショールーム)などの配信プラットフォーム上で、オンライン配信をすることが増えた。アイドルの誕生日などの祝い事にサイトを利用してもらえるよう、オーダーメードケーキの販売を開始した。

「特にアイドルは各メンバーに『メンバーカラー』が存在する。青色と黄色を取り入れたケーキなどを開発できれば、今までにいない顧客層を獲得できると考えた」(同)と話す。

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