2022.06.22

ギフティ、ブランド横断の「共通eギフト」提供開始 ミツウロコグループHDと提携

ミツウロコグループHDの稲⽥剛グループ執⾏役員CXO(左)とギフティの太⽥睦代表取締役


ギフティは5月31日、ミツウロコグループホールディングス(HD)とDX戦略推進パートナーシップを締結した。これを踏まえて、ミツウロコグループHDは6月、ギフティが提供するeギフト販売システムを導入し、グループ共通のeギフトを販売する。ブランドをまたぐ形で、eギフトの精力的な運用に乗り出した。ギフティが、企業グループ内の異なるブランドや業態を横断して利用できる共通eギフトを手掛けるのは今回が初めて。5月31日に両社がパートナーシップ提携について説明した講演やトークセッションの内容を交えて、詳細をまとめた。


ギフティは、eギフトプラットフォーム事業を展開しており、eギフト(=デジタルギフト)の発行から流通まで一気通貫で提供している。展開する主力サービスは、eギフトやチケットを発行し販売する「eGift System」サービスなど四つ。

今回の取り組みは、「eGift System」を介して、企業グループ内の異なるブランドや業態を横断して利用できる共通eギフトを発行する初めての事例となる。

ミツウロコグループHDは6月1日から、「eGift System」を導入し、自社の5ブランドで利用できるグループ共通eギフト「【共通ギフト】ミツウロコグループ」を、①ミツウロコグループの自社サイト上 ②ギフティが運営する ウェブサービスおよびスマートフォン向けのアプリ「giftee」 ③ギフティの法人向けサービス「giftee for Business」――の3チャネルで販売を開始した。同月から株主優待券(グループ共通商品券)の電子化も開始。株主は、従来は紙で発行されていた株主優待券から、eギフトに切り替わり、優待受取サイトから優待の選択・受け取りができるようになる。

ミツウロコグループHDは創立100周年に向け、グループ変革期として既存事業の強化を図る傍らで、新規事業の開発など、時代に即した成長のために挑戦を続けている。その一環として、グループ経営戦略に「DXの推進」を掲げる。グループにおけるCX向上施策、ギフティが提供するeギフトサービスの相性の良さ、シナジー効果に着目し、DX戦略推進パートナーシップ締結に至った。なお、ギフティはこれまでにも、株主優待の電子化において先行してミツウロコグループHDとの協力を進めていた。

両社は「【共通ギフト】ミツウロコグループ」の導入によって、新規顧客の獲得や店舗での告知による各ブランドの認知拡大につながることを期待している。自社キャンペーンなどのインセンティブとして採用することで、事業ブランドや店舗の垣根を超えて、顧客の相互送客やクロスセルを図ることも可能だ。グループを横断したシームレスなサービス提供やマーケティング施策ができるようになるため、顧客コミュニケーションの活性化、事業・ブランド間でのシナジーの創出につながる。ひいては、グループ全体のCX向上に寄与するとみる。

コロナ禍で、デジタル上でギフトを贈り合う需要は高まっている。また、店頭支払いにおける非接触対応ニーズにも応えることができる。eギフトはギフトを送る側、受け取る側の双方にとって利便性が高い。ギフティによると、導入企業にとって新たな顧客体験の創出につなげることができるという。

5月31日に行った両社のトークセッションでギフティの太田代表取締役は、ミツウロコグループHDによる、eギフトを活用したDX戦略立ち上がりの経緯を質問。ミツウロコグループHDのグループ執⾏役員CXOで、グループ会社であるトライフォースの代表取締役社長も兼任する稲田剛氏は、ミツウロコグループHDが飲食、アミューズメント施設などさまざまなブランドやサービスを手掛けていることに言及し、「各ブランドのシナジーを創出したい」という思いが出発点であることを説明した。ギフティの太田代表は「贈り主からeギフトを受け取った人は、それをきっかけに新たな購買につながる」と述べ、既存顧客のロイヤリティー向上だけにとどまらず、新規顧客獲得向けにも有用性が高いことを示した。

記者による、eギフトを活用した売り上げ拡大へのビジョンを問う質問に稲田氏は、「まずは新規顧客の獲得に乗り出す。eギフトはコストに優れ、効率的に推進できるマーケティングだと捉えている。その後、ロイヤリティー向上を図る施策を検討していきたい」と話した。