2022.02.25

【資本業務提携の真意は?】エクスプライス 稲積憲社長「『実』を取り、さらなる成長加速へ」

エクスプライス 稲積憲社長


家電ECのエクスプライスは2月10日、ホームセンター大手のDCMホールディングス(HD)と資本業務提携を締結した。全株式をDCMHDが取得することで、エクスプライスはDCMHDの完全子会社となる。全国に大型の実店舗を構えるDCMグループの基盤を活用し、顧客接点の拡大や自社ブランド商品の露出増、非家電商材の仕入れ強化などを進めていく見通しだ。提携発表後間もない稲積社長に、資本業務提携の真意や期待するシナジーなどについて聞いた。


成長の時間軸短縮


――DCMHDとの資本業務提携の経緯は?


当社の全株式を保有するファンド(サンライズ・キャピタル)とともに、単独での新規上場準備を従前から進めてきた。その中で、成長の加速に向けたシナジー創出を期待できる資本業務提携先の候補の一つとして挙がったのがDCMHDだった。

当初は株式の一部取得という形での打診だった。だが、DCMHD側からは当社の独立性を保ちつつ成長支援を提供する、という非常に協力的な姿勢とともに全株式取得という提案を受けた。想定していなかった提案であり熟慮が必要な選択でもあったが、当社の目指すべき姿の実現とその成長スピードの加速を優先し、今回の資本業務提携に至った。

本件を検討するにあたり、当社がかねてから目指してきた2軸での理想に立ち返った。一つは、当社メンバーがやりがいを持って安心して業務に打ち込める成長環境の構築。そしてもう一つが、「新しいお買い物のスタンダードとなる」というミッションの実現だ。

こうした理想をより早期に実現していくために、単独での上場ではなく上場会社の一員として事業を進めていく方針に変更した。
単独では5年10年をかけなくては得られないような資産を、DCMグループになることによって一瞬で得られるという点が何よりの魅力と考えた。さまざまな選択肢があった中、より成長の時間軸を短縮できるような「実」を取る判断になった。


足元では2桁増収継続


――掲げてきた中期目標について変化はあるか?


新規上場については、今回の資本業務提携により方針変更となった。2025年までに売上高1000億円という中期的な目標に変更はない。

今期(2022年6月期)は、巣ごもり需要の反動や冷夏の影響などで家電業界全体が10%近く縮小する中、プラス成長を継続できている。折り返し地点を迎えた現時点の売上高は、前期比10%増程度で推移している。

「新しいお買い物のスタンダードとなる」という理想の実現を考えると、1000億円という数字はまだまだ通過点だ。DCMグループとのシナジーを含めて、前倒しでの到達も視野に入れたい。

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