2022.01.28

【<徹底解明>ネット転売の光と影】第1回 年始に「福袋」の高価転売が横行


フリマアプリの利用拡大に伴い、オンラインでの個人間取引はここ数年で大きく消費者に浸透した。不用品などの二次流通窓口としての活用が進む中、需要過多の商品などの「高額転売」が問題視されている。定価を上回る高額出品や営利目的による大量購入などは、メーカーと消費者との正当な販路を断絶させる一因にもなっている。EC業界の不透明なテーマを解き明かす連載企画「徹底解明」第2シリーズは、フリマアプリなどオンラインでの転売行為が持つ多面的な要素を明らかにしていく。


マスク騒動後も劇的な変化なし


フリマアプリでの高額転売に対する問題意識が加速したのは2020年春、コロナ禍により一部の日用品が著しく不足した影響が大きい。

現在の生活にも欠かせないマスクやアルコール消毒液などの衛生商品各種は、ドラッグストアやスーパーマーケットから姿を消した代わりにフリマアプリ上での高額出品が相次いだ。

法改正やプラットフォーム側の自主規制により事態は沈静化した。だが、不特定多数のユーザーが任意の価格で商品を販売できるフリマアプリの利便性とともに、その危うさも明示された事例となった。

マスク騒動から数年が経過した現在も、フリマアプリと転売を取り巻く環境に劇的な変化は生じていない。限定販売のアパレルアイテムや高価格の家電・ゲーム機器などの人気商品は、新商品が発売されるたびに定価を上回る値段設定での出品が相次いでいる。

「メルカリ」など主要プラットフォームも自由取引の観点からそうした行為を是認しており、定価と出品価格の差異を尺度とした出品の制限は基本的に設けていない。

しかし、フリマアプリでの高額転売や個人の範囲を逸脱した大量商品調達・出品は、消費者の購買体験や商品そのものへのイメージを悪化させるものとして、メーカーや販売事業者から危惧する声が多数上がっている。

ホビーECサイト「あみあみ」を運営する大網は、こうした行為を「大多数の良識あるユーザーの購買を妨げる明らかな営業妨害」(広報)と指摘する。

「あみあみ」で販売するホビー商品各種は、予約販売の形式を取るものも多い。近年では、フリマアプリ上でこうした予約の権利そのものを販売する無在庫転売も目立ってきているという。

商品が手元にない中で出品を行う無在庫販売は、各プラットフォームでも出品規約違反にあたる。「規約違反とみられる出品に関しては、プラットフォーム側に出品停止などの対応を取ってもらっている」(同)と言う。

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