2021.12.08

インテージ、コロナ禍2年目の2021年「売れたものランキング」公開 1位の「オートミール」など健康系が人気

インテージは12月8日、全国約6000店舗より収集している小売店販売データ「SRI+®(全国小売店パネル調査)」をもとに、日用消費財の中で何がより売れたかを振り返る「2021年、売れたものランキング」を発表した。 1位の「オートミール」を筆頭に、2位の「麦芽飲料」、4位の「プロテイン粉末」と健康系食品・飲料が上位に入った。昨年上位を独占した衛生系の商品は、コロナ禍以前に比べると大幅増ではあるものの、15位以内からは姿を消す結果となった。

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このほど発表した「2021年、売れたものランキング」は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6000店舗より、継続的に日々の販売情報を収集している小売店販売データ「SRI+®(全国小売店パネル調査)」をもとに、推定販売金額の前年比上位をランキング化したもの。対象商品は、食品・飲料・日用雑貨品などの日用消費財で、集計期間は2021年1月~10月。

コロナ禍2年目となる2021年の同ランキングで1位となったのは、前年比291%と伸長した「オートミール」で、今年を象徴する商品となった。欧米などでは一般的な商品ながら日本では定着していない印象があったが、長引くコロナ禍で健康志向が高まり、家庭の食卓も大きく変化。食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素が豊富で低カロリーな点が指示され、一気に存在感を増した。牛乳で煮るというオーソドックスな作りから一転、今年は様々な調理方法が紹介され、「米化」といわれる主食として米のように食べる方法から、ハンバーグに混ぜるなどおかずに使う、デザートに使うなど、幅広い利用方法が紹介された。



データで見ると、各年1~10月の10カ月間で1回以上この商品を買った割合を示す購入率が、男女ともに急上昇している。特に健康や美容に敏感な女性は、2年前の約10倍にまで数字が伸びる驚異的な結果となった。女性の年代別では、2020年には情報感度の高い15~29歳の購入率が大きい傾向が見られたが、2021年には幅広いメディアでダイエットや美容への効果が取り上げられたためか、30~49歳や50~64歳の中高年層の購入率が他の年代よりも大きくなっている。



他にも健康系食品・飲料では、貧血予防や体力増強などでSNSで話題になり、品薄がニュースにもなった2位の「麦芽飲料」(182%)、美容やダイエットを期待する女性を中心に人気だった4位の「プロテイン粉末」(131%)も続伸した。両商品ともコロナ禍前の2019年に比べ、市場規模は約2倍、店舗などでも目にする機会が格段に増えてきた。13位の「栄養バランス食品(112%)も、プロテインバーがとりわけ好調となった。8位の「ノンアルコール飲料」(117%)は、自宅でお酒を飲む機会が増える中、健康に気を使う層に受け入れられたようだとしている。11位の「ビール(発泡酒・新ジャンルを除く)」(113%)も、前年10月の酒税法改正による値下げ効果があったほか、糖質ゼロ系の好調が見て取れたとしている。

一方、3位には、昨年から好調が続く「玩具メーカー菓子」が入り、今年も前年比137%と伸長した。「鬼滅の刃」などの複数のコンテンツが力強いこともあり好調を持続した。くせ毛対策や仕上がりへの効果を訴求する商品などが好調の6位の「ヘアトリートメント」(122%)や、10位の「血圧計(115%)など、家でのセルフケア関連商品もランクインして、以前より外出が難しくなったことで生まれた需要を取り込んだとしている。

そんなベスト10の中で注目としたのが、5位の「しわ取り剤」(124%)、7位の「解熱鎮痛剤」(121%)だ。しわ取り剤は美容品ではなく衣類のしわを取るもので、昨年より外出機会が増えたことに加え、除菌効果を謳った新商品も投入されたことでランクインした。「解熱鎮痛剤」は、新型コロナウイルスのワクチン接種時の副反応対策として需要が高まった。今年の5月から65歳以上の高齢者へのワクチン接種が優先して進められたことで、65~79歳の解熱鎮痛剤の購入金は、前年比で322%まで伸長した。



また今年は、昨年苦しんだ化粧品、医薬品の一部に回復の兆しが見えたとしている。昨年の行動変容を象徴する商品の1つが、めまいなどの症状を抑える薬である「鎮暈剤(ちんうんざい)」で、酔い止めも含むこのカテゴリーは、旅行などが敬遠され2020年はコロナ禍前の約半分(55%)にまで落ち込んでいたという。一方今年は14位となり、前年比111%と回復する傾向が見られた。2019年に比べればまだ6割程度ではあるが、プラスに転じたことは人々の行動変化の現れといえるだろうとしている。2021年10月に緊急事態宣言が解除されたことで、販売の伸びも見られている。15位の「テーピング」(109%)も外での運動機会が前年よりも増えた影響があると推察している。同じく花粉症用としても使用される「鼻炎治療剤」(113%)は12位だった。今年は昨年に比べて花粉が多かったこともあるが、前年と比べて外出の機会が増えていることも要因として挙げられるとしている。



ランク外ではあるが、医薬品同様に昨年落ち込んだ化粧品にも変化が見られた。目の周りの化粧で用いる21位の「眉目料」(107%)、化粧を落とすときに使う22位の「クレンジング」(107%)が伸長しており、コロナ禍前の水準までは回復していないものの下げ止まりの兆しが見られたとしている。なお、同じジャンルでも「総合感冒薬」やマスクで隠れてしまう「口紅」など回復が遅れているものもある。

その他、9位には「冷凍水産」(116%)がランクインした。様々な料理にアレンジして使用できる手軽さや保存のしやすさなどが好評で、2019年に比べると176%と大きく市場規模を伸ばした。また、ランク外ではあるが、17位の「入浴剤」(108%)、23位の「園芸用品」(107%)など、家にいる時間を楽しむための商品は昨年に続き好調で、市場もコロナ禍前の約2割増となっている。

一方で、コロナ時代の必需品となった衛生系商品として、2020年の同ランキングでは上位を独占していた「マスク」「殺菌消毒剤」「体温計」「うがい薬」などは今年は姿を消した。しかし2019年と比べて、2020年に4倍以上の売り上げとなったマスクは、2021年の今も人々の生活の必需品となっている。その他の商品も同様で、コロナ禍前に比べれば大きく伸びている。2020年に市場が一気に拡大したことで、今年は同じような爆発的な動きとはなっていないだけで、Withコロナ時代においては欠かせないものとなっている。



なお、同じく2020年の同ランキングで上位にランクインした「プレミックス」や「ホイップクリーム」などに代表される自宅でのお菓子作りの材料などについても、前年に急伸した反動で今年は前年割れとなったものの、コロナ禍前の水準は上回っている。

今回のランキングについて、新型コロナウイルスの影響により生活が激変した2020年に対し、その影響を引きずりつつ人々も行動を変容させた2021年は、新たなトレンドが見られたとしている。一方で、行動変容を受け苦戦が続くものや、昨年売り上げが大きく伸長したため反動が見られた商品などもあり、それらのデータを紹介する「2021年、販売苦戦したランキング」も近日中に発表する予定としている。




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