2021.11.29

【高付加価値化粧品開発 〈インタビュー〉】三洋化学工業 山田正博氏「金型開発不要で多様なデザイン実現」

三洋化学工業 営業統括部次長兼広報室室長 山田正博氏


インサート成形クリームジャー容器の大ヒット商品「MISTY(ミスティ)」のメーカーとしても知られ、クリームジャー容器全般に強い化粧品容器メーカーの三洋化学工業はこのほど、新たに金型を開発することなく多様なデザインを実現できる容器「百景」シリーズの本格訴求を開始する。高付加価値なデザイン性と、SDGs・エコへの貢献を兼ね備えた容器の供給も可能だという。同社の山田正博営業統括部次長兼広報室室長に話を聞いた。

ーー化粧品容器の最新のトレンドについて教えてください。

化粧品容器にも、SDGsへの対応が、強く求められるようになっています。そうした文脈から、樹脂量が少ない容器、リフィル(詰め替え)タイプの容器、バイオマスやグリーンナノなど特殊な樹脂を使った容器などの人気が高まっています。

バイオマス樹脂には、原料に、植物などを使用しています。植物は生育時に大気中のCO2を吸収します。燃やしても、全体としてCO2が増加しないという「カーボン・ニュートラル」の考えに基づいています。

一方、グリーンナノは、さまざまな樹脂に混ぜ込むことで、燃焼時のCO2排出量を減らすことができます。多様な樹脂に対応でき、汎用性が高いのが特徴です。

当社では、こうした、SDGs・エコの要望に、一通り応えらえる体制を整えています。例えば、トウモロコシ由来のバイオマス成分を配合したPP製のクリーム容器も提供できます。バイオマス樹脂には、PETやポリエチレンが多く、PPのバイオマスは珍しいと思います。

従来比でプラスチックの使用量を50%以上抑えたクリーム容器「POLLEN(ポルン)」の提案も、このほど開始しました。30グラムのクリーム容器で、日本郵政のメール便にも対応できます。

当社が開発したエコ容器「T―eco(テコ)」も、引き続き好評をいただいています=写真下。高級感のある容器ながら、詰め替え用のリフィル容器を簡単に着脱できるのが特徴です。


エコ容器「T―eco(テコ)」

ーー高付加価値な化粧品容器の開発方法について教えてください。

大前提として、世の中の容器・包材・入れ物の中で、化粧品容器ほど、付加価値が表現できるものは、他にないと思っています。容器・包材に求められるものは通常、機能性が主だからです。これに対して、化粧品容器には、付加価値の高いデザイン性が求められることが多いです。

化粧品の開発メーカーさまの想いや、消費者さまのトキメキを、容器でしっかりと視覚的に表現することが、当社の役割だと考えています。

当社では、高付加価値な化粧品容器の低コスト開発につながる取り組みの一つとしてこのほど、「百景」シリーズの提案を本格化します。

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