2021.10.26

【データで分析!EC商戦】「スキンケア」はコロナ前比2.1倍に メンズオールインワンが躍進、ECモールのコスメ市場を調査

楽天市場の「スキンケア」ジャンルはコロナ前比2・1倍に成長


大手参入で小売のECは困惑


コロナ禍の化粧品EC市場への影響は、ユーザーの消費行動の変化にとどまらない。大手メーカーがECモールに初出店したことで、大手メーカーの商品を仕入れ販売していた小売りの化粧品EC店舗が、苦戦を強いられるという現象が起きている。

化粧品メーカー世界最大手のロレアルが展開する敏感肌向けブランド「ラロッシュ ポゼ」は2021年1月、楽天市場に初出店した。日本ロレアルは「ラロッシュ ポゼ」の楽天市場出店と同じ時期に、ユーチューブを中心としたウェブ広告を大々的に展開していたとみられる。



Nintのデータによると、2021年2月に楽天市場で発売した、「ラロッシュ ポゼ 公式ショップ」のUVケア機能を備えた化粧下地は、楽天市場の「日焼け止め」ジャンルの記録を塗り替えた。同商品は、2018年1月~2021年8月までの3年8カ月の間の、楽天市場の「日焼け止め」ジャンルの累計の売れ筋商品ランキングの、トップ2にランクインしたのだ。

これまで、「ラロッシュ ポゼ」を扱ってきた、ある化粧品の小売店舗は、「大手メーカーのプロモーションとECモールへの参入が相乗効果を産み、“爆発的”な売れ行きとなったようだ。当社にも広告効果はあったが、在庫の確保に苦労した」(店舗運営責任者)と話す。「1個当たりの販売利益は決して高くないため、公式ショップと価格競争になるのは厳しい」とも話している

鯉渕氏は「コロナ禍以降、これまで店舗販売だけで展開してきた大手メーカーも、ECに積極参入するようになった。今後は、バラエティーショップなどの化粧品の小売店舗は、商品以外の別の付加価値がなければ、化粧品EC市場で戦うのは、正直厳しいだろう」と話している。


オールインワンは「メンズ」が躍進


「オールインワン」を打ち出している化粧品市場では、メンズ向けのオールインワン化粧品が頭角を現している。楽天市場の「オールインワン」ジャンルの、2018年1月~2021年8月の3年8カ月間の累計売上トップ10の商品ランキングには、メンズ向けのオールインワン化粧品が2品目ランクインした。



1位を獲得したのは、アールスタイルが展開する「&GINOプレミアムフェイスエッセンスアクアモイス」。Nintのデータによると、同商品の2021年1月度の月商は、2018年1月度の月商と比較して、43.6%増となっている。

8位にランクインしたリ・ブランディングジャパンが販売する「アフターシェーブローション クワトロボタニコ」も、売り上げが右肩上がりで推移している。Nintのデータによると、同商品の2021年1月度の月商は、2018年1月度の月商の2・5倍となった。

リ・ブランディングジャパンによると、「メンズ化粧品市場の拡大に合わせて、当社の製品の売れ行きも拡大している。2018年と比べれば、2021年の売り上げが倍増しているのは間違いない」(広報)としている。リ・ブランディングジャパンでは、「クワトロボタニコ」について、自社ECサイト、楽天市場、Amazonの3つのチャネルを主力の販路としており、楽天市場ではメンズ化粧品の市場で、「確かなポジションを確立している」と話している。


※本記事で使用したデータは、Nintが提供するデータ分析サービス「Nint ECommerce」を活用して得た。「Nint ECommerce」では、楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングといった主要ECモールの分析が行える。ジャンルの売り上げや個別の商品の売り上げを分析できるだけでなく、ショップごとの売り上げや、出店店舗別の広告の出稿状況のデータも収集できる。モール内のジャンルごとのトレンドや、競合他店の売れ筋商品の変化、広告出稿状況を分析することが可能だ。

Nint ECommerce→https://www.nint.jp/ec/

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