ECモールの化粧品市場が、コロナ禍以降、コロナ前に比べて好調に推移している。ECのデータ分析を手掛けるNint(ニント)が提供する「Nint ECommerce(ニントイーコマース)」の売上推計データによると、楽天市場の2020年1~12月の化粧品の流通規模(個数ベース)は、前年同期間比で66.2%増となった。Yahoo!ショッピングでは、同19.8%増となった。スキンケア・ヘアケア市場は顕著に拡大。楽天市場の「スキンケア」ジャンルの2020年の流通規模は、前年比で2・1倍に拡大した。「オールインワン」を打ち出している化粧品では、「メンズ向け」商品が上位にランクインするなど、躍進した。
「おうち時間」を「美容時間」に
楽天市場の2020年1~12月の「スキンケア」ジャンルの流通規模(販売個数ベース)は、2019年比で2.1倍に拡大した。「ヘアケア」ジャンルは同35.0%増加した。
Yahoo!ショッピングでも、2020年の「スキンケア」ジャンルの流通規模は、同23.8%増と拡大した。「ヘアケア」ジャンルは同12・2%増となった。
コロナ禍以降のスキンケア・ヘアケア市場が、コロナ前と比較して大きく拡大しているのは、外出自粛の影響で、自宅で過ごすことが多くなった時間を、「美容時間」に当てる人が多かったからだとみられる。化粧品通販企業のコンサルティングを手掛けるフォー・レディーの鯉渕登志子氏は、「ヘアケア用品を扱う通販企業はコロナ禍以降、軒並み業績が好調だ」と話す。「コロナ禍以降、コロナの感染を恐れて美容院から足が遠ざかる人が多かった。美容院に行けない代わりに、ヘアカラーやトリートメントを自宅で、自分でする人が増えた。在宅時間が長くなるにつれて、入浴時間も長くなったというデータもあり、結果的にヘアケアが伸びた」と言う。
鯉渕氏によると、スキンケア市場が大幅に伸びた理由には、「マスク生活が長期化したことで、マスクによる肌荒れをケアしたいという人が増えたからではないか」としている。
外出自粛でも「日焼け止め」は微増
2020年は、コロナの影響で外出自粛が続いたが、意外にも、「日焼け止め」ジャンルの市場規模は、楽天市場でもYahoo!ショッピングでも微増となった。外出しなくても、「日焼け止め」を日常的に使用するという人が多かったようだ。
「日焼け止め」市場が微増で推移した背景について、鯉渕氏は、「外出自粛の影響で、女性の化粧の習慣が簡素化したからではないか」と分析する。「『化粧下地もUVケアもしっかりしたい』というニーズから、『マスクをしているので、最低限の化粧下地を塗るだけでいい』というニーズに変化する人が多かった。結果的に、日焼け止め機能を持った下地が良く売れるようになったのではないか」と話している。「逆に、日焼け止めの機能しか持たないクリームなどは苦戦しているのではないか」と言う。
※本記事で使用したデータは、Nintが提供するデータ分析サービス「Nint ECommerce」を活用して得た。「Nint ECommerce」では、楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングといった主要ECモールの分析が行える。ジャンルの売り上げや個別の商品の売り上げを分析できるだけでなく、ショップごとの売り上げや、出店店舗別の広告の出稿状況のデータも収集できる。モール内のジャンルごとのトレンドや、競合他店の売れ筋商品の変化、広告出稿状況を分析することが可能だ。
Nint ECommerce→
https://www.nint.jp/ec/