2020.04.03

【健食通販インタビュー】ファンケル 若山和正本部長「機能性表示食品で差別化」

ファンケル 上席執行役員 健康食品事業本部 若山和正本部長



ファンケルの健康食品事業による業績が、順調に推移している。生活習慣病対策関連の機能性表示食品がヒット商品となっているほか、卸販売の売上高が堅調に推移しているからだ。ただ、第4四半期以降、新型コロナウイルスによりインバウンドの売上高に影響。栄養補助食品による通期売上高見通し(458億5000万円)の達成は、厳しくなっている。上席執行役員健康食品事業本部の若山和正本部長に、今期取り組んだ施策や業績見通しを聞いた。


他社とコラボ


――健康食品事業本部で今年度、重点的に取り組んできたことは。

今期は3カ年の中期経営計画(中計)の2年目ということで、3つのことに取り組んできた。まず、機能性表示食品制度をうまく活用して、お客さまのニーズを満たすとともに、競合と差別化できるような商品を上市、売り上げを拡大すること。2つ目はサプリメントユーザーをいかに獲得していくかということだ。当社の調べでは日常的にサプリメントを使う人は、成人男女の30%といわれている。この使用率を高めていかないと市場も増えないし、売り上げも上がらないと思っている。

その一環として、食品に機能を持たせた商品を提供して、将来的なサプリメントユーザーを獲得するために、他社とのコラボレーションに取り組んでいる。ダイドー社やネスレ社をはじめ、今後も複数の企業とのコラボレーションを計画している。カテゴリーに強い知見や資産を持っている企業と組むことは、短時間で商品開発が進み、新しいことがたくさんできると思っている。

――今年度に取り組んできた3つのことの残り1つは。

サプリメントユーザーになってくれた方の個別の健康ニーズに取り組んだ。今年2月、その人に最適なサプリメントをオーダーメードで提供する「パーソナルワン」を発売した。サプリメントを取っていただいた後に継続していただけるかというのは、自分の健康に対してどれだけ役立っているのかを見える化することがポイントだと思う。人はそれぞれ体質があり、体内での栄養素の使われ方も異なる。そこで、体内の栄養素がどの程度充足しているかが分かる尿検査の栄養素分析キットを作って、それに基づいたサプリメントを提案するサービスを始めた。

店舗、流通が苦戦


ーー2019年4-12月期(第3四半期)までの栄養補助食品関連事業の業績は、売上高で前年同期比2.9%増、営業利益は同11.8%増だった。評価は。

確かに第3四半期までは、まずまずの数字で推移していた。しかし、第4四半期は新型コロナウイルスによる影響が出てきている。計画値は現在試算中だが、第3四半期までと同じようにはいかない状況だ。

――新型コロナの影響はかなりマイナスになりそうか。

今回の影響は、いい部分と悪い部分がある。例えば、ビタミンDやビタミンCなどの基本栄養素、プロポリスといったサプリメントに対する需要は大幅に伸びている。反面、国内のお客さまが外出を控えていることや、中国からのお客さまが減少していることで、直営店舗や、流通でもドラッグストアなどが苦戦している。

日々変化する状況を踏まえながら、スピード感を持って柔軟に対応していきたい。

ーー4月以降の新年度における計画は。

来年度は中計の最終年度になるので、今年度取り組んできた3つの方針を、より精度を上げてやっていく。機能性表示食品によるスター商品づくりは、今年もしっかりと行っていきたい。機能性表示食品で強みがあるのは、生活習慣病対策関連の商品が全体的にいい。他社とのコラボレーションについては、いくつかの企業と新しい商品を出していきたい。既存の取引先とも新しい商品をやっていくが、違う取引先とも今までとは異なるカテゴリーの商品を展開していきたい。

健康食品事業は社内的にも期待されている部門なので、予算としては市場の成長率より高い計画が置かれている。そこを目指して頑張っていく。3カ年ずつ積み上げていく中で、とにかく小さなことでも日本一を目指して、さまざまなことにチャンレンジしていきたいと考えている。

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