2021.10.15

ユニクロ、国内EC売上は17.9%増の1269億円 OMO加速でEC化率は15.1%に、グローバルEC売上は3800億円に

ファーストリテイリングの柳井正社長

ファーストリテイリングは10月14日、2021年8月期の業績を発表した。ユニクロの国内EC売上高は前期比17.9%増の1269億円になった。前期同様、コロナ禍に急拡大しており、2期前と比較するとEC売上高は約50%増となっている。EC化率は前期比1.8ポイント増の15.1%に拡大した。ジーユーの国内EC売上高も2期前と比較して約50%増加し、EC化率は約11%に伸ばしている。EC化率から推定するEC売上高は約274億円になる。

ユニクロの海外におけるEC売上高も前期比約20%増と拡大している。海外事業のEC化率は約20%になった。グループ全体のEC売上高は約3800億円になり、EC比率は約18%まで拡大したという。柳井正社長は、「今後、グローバル展開を一段と加速させる」と改めて強調した。コロナ禍も海外の主要都市に旗艦店を出店し、グローバルでOMO(オンラインとオフラインの融合)を進めている。

ファーストリテイリングは2017年から掲げている「情報製造小売業」というコンセプトのもと、顧客一人一人とつながり、情報を収集を行い、そのデータを製造から販売まで有機的に活用していくビジネスモデルを強化している。スマホアプリやECサイトを基盤に顧客とつながり、顧客がオンライン・オフラインをスムーズに行き来できる環境を整えている。アプリ・EC会員はグローバルで約1億4000万人、国内のユニクロ・ジーユーを合わせた会員は延べ5700万人にまで拡大している。


グローバルで会員を拡大

EC利用者の店舗受け取りサービスの利用率は約40%になっている。店舗受け取りの利便性を高めるため、10月8日にはスマホから注文してから最短2時間で店舗で商品を受取ることができる「ORDER & PICK」の本格展開を開始した。他にもオフラインの旗艦店では、着こなし発見アプリ「StyleHint」のデータを生かした、スタイリングの画像を閲覧できるサイネージを設置するなど、オンラインで収集したコンテンツをオフラインで生かす取り組みも強化している。

2020年12月には商品や着こなしの情報をライブ配信する「LIVE STATION」を開始し、動画での情報発信にも注力した。今年4月には「UNIQLO CITY TOKYO(有明本部)」に、日本最大級の撮影スタジオを新設し、リアルタイムに商品を情報化するための基盤を構築した。自社スタジオを起点に、LifeWearマガジンやマスターピースカタログ、ECサイトなどでコンテンツを配信するための環境を拡充している。


2020年12月にライブ配信サービス「LIVE STATION」開始


今年4月、有明本部に日本最大級の撮影スタジオを新設

柳井社長は人権侵害を容認しない方針を改めて強調した。すべての取引先工場に「生産パートナー向けのコードオブコンダクト」への遵守、署名を求めている。主要な事務所には労働環境のモニタリングや工場の改善指導などを専門的に行う専任チームを設置し、担当者は毎週、担当の取引先工場を訪問し、直接、自分の目で工場の現場を把握し、正しい生産プロセスへの改善指導などを行っているという。

柳井社長は「世界中のお客さまに良い商品を提供しようとしている多くの企業に対して、政治的な選択を迫るような風潮には、強い疑問を感じている。だからといって、人権問題に対する自らの姿勢を曖昧にするつもりはない」と言及した。

ファーストリテイリングは2022年8月期もグローバル化、EC化を力強く推進する方針だ。ユニクロの国内事業は在庫の適正化を進めるため、減収減益を見込む。EC事業は在庫適正化の影響やコロナ禍での大幅な増収を踏まえ、若干の増収を予想している。



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