「楽天市場」「Amazon」「Yahoo!ショッピング/PayPayモール」の3大モール(BIG3)は、コロナ禍に流通総額を伸ばし、シェアを高めている。ただ、規模こそ及ばないものの、コロナ禍に3大モールを超えた成長率を誇るモールはたくさんある。新たなイノベーションや消費行動の変化などにより、急速に第4のモールが台頭し、3大モールの牙城を崩す可能性は否定できない。以前から3大モールの後を追う有力モールに加え、異ジャンルからモールに参入してきたダークホース、そして未知なるモールまで、EC事業者が出店すべき新たな“売り場”の可能性を探る。
3大モールが存在感を高める一方、成長を続ける新興モールや中小モールは確実に存在している。EC事業者は流通規模の大きい3大モールを押さえながら、自社に合う第4のモールを見つけて攻略することで、新たな成長を実現できるだろう。
【成長期待モールの注目ポイント】 4番手の筆頭は「au Pay マーケット」
4番手の筆頭は、歴史や実績から言っても「au Pay マーケット」だ。コロナ禍の2020年度に流通総額を前期比約80%増と大幅な成長を遂げた。この成長率は3大モールをしのぐ。
▲「au Pay マーケット」はコロナ禍に急成長KDDIグループが展開する有料会員サービス「auスマートパスプレミアム」の会員に送料無料サービスを提供したり、au回線契約時に「au Pay マーケット」の利用促進を積極的に実施したりすることで、auユーザーの取り込みに成功している。
3大モールのうち、2モールの関連会社が携帯キャリアを展開していることを考えると、KDDI経済圏を持つ「au Pay マーケット」のポテンシャルが大きいことも分かる。
「dショッピング」は運営体制変更で拡大加速
携帯キャリアが展開するECモールと言えば、NTTドコモの「dショッピング」を忘れることはできない。「dショッピング」は選別された店舗しか出店できない「プレミアムモール」であるため、『出店できない売り場』と決めつけているEC事業者も多いのではないか。
▲選別された店舗が出店できる「dショッピング」NTTドコモとオールアバウトの資本業務提携により、「dショッピング」は、オールアバウトの子会社であるオールアバウトライフマーケティング(AALM)と共同運営している。AALMはサンプルECサイト「サンプル百貨店」を急成長させた実績を持つ。
EC事業のノウハウや人材を生かし、「dショッピング」の運営体制も強化している。「プレミアムモール」を維持しつつも、徐々に有力な店舗の誘致を強化していく方針のようだ。
「dショッピング」に出店する店舗からは、「『dショッピング』の客層が非常に良い。安値買いではなく、商品の質をしっかりと見てくれる」という声も聞こえる。
実際、コロナ禍に流通総額は大きく成長しているようだ。ドコモユーザーという大きな顧客基盤を武器に、モールの品ぞろえやサービスを強化することで、さらに成長を加速することは必至だと言える。