2021.09.27

【データで分析!EC商戦】おせちECトップに聞く「拡大するおせちECの裏側」 2021年は『個食』『高級食材』がトレンド 

楽天市場のおせち市場は毎年2桁成長している

おせちのEC市場が拡大している。ECのデータ分析を手掛けるNint(ニント)が提供する「Nint Ecommerce(ニントイーコマース)」の売上推計データによると、楽天市場では、20年1年間のおせちの流通規模が、2019年と比較して12.4%拡大した。2021年新春用のおせちのトレンドとして、「『1人前』や『高級食材』がキーワードの商品が売れた」という声を寄せる店舗もあった。おせちEC市場の拡大の背景には、コロナの影響が色濃く見えた。おせちの予約開始時期を早める流れも加速している。おせちEC市場をけん引する「博多久松」「板前魂」「おもてなし参道」に、市場の裏側を取材した。 

 

【楽天市場】

2020年のおせち市場規模は年間30億円超に




Nintのデータによると、楽天市場における、2020年のおせちECの市場規模は、前年比12.4%増の30億7000万円だった。2019年は19.0%増、2018年は23.2%増となるなど、楽天市場のおせちEC市場は2桁成長を続けている。

2018年から3年連続でおせちの売り上げ年間1位を獲得したのは、久松が販売する「博多 特大8寸×三段重 おせち全46品」だった。

Nintのデータによると、楽天市場でおせちセットの年間売り上げトップ10は例年、「博多久松」「板前魂」「小樽きたいち」「おもてなし参道」「京菜味のむら 楽天市場店」の各店の商品が占めており、上位にランクインするおせちセットの顔ぶれはほとんど変わらなかった。


「個食」需要が増えた2020年




「おもてなし参道」を運営する千賀屋によると、コロナ前とコロナ禍以降で、売れるおせちセットのラインアップに変化があったという。コロナ禍以降は、巣ごもり需要の影響で「一段重(2人前)」や、「1人前×2折」といった、「個食」サイズの需要が増えているという。「消費抑制の反動で、多少価格が高くても高級食材の入ったおせちの需要が増えている。『消費年齢の多様化』により、和洋折衷のおせちが増えている」(販売促進部)とも話している。

「博多久松」を運営する久松では、「2020年は少人数向けのおせちが早々に売り切れた。家族で集まる家庭が少なかったからかもしれない」としている。ただ、「2021は全体的にバランスよく売れている。トレンドはまだつかめていない」とも話している。
 

早期予約もトレンドに


おせちEC市場では毎年、予約販売を開始する時期が早まってきている。

Nintのデータによると、2018年~2020年まで、楽天市場全体で、7月にすでに販売されているおせちセットは、20商品にも満たなかった。2021年の7月には、「博多久松」や「小樽きたいち」などが、複数商品の予約販売を開始。楽天市場全体で80商品がすでに予約できるようになっていた。

「リピーターのお客さまは、かなり早い段階で購入を検討している。販売開始の案内をすると同時に、多くのリピーターが購入してくれる」(博多久松)という。今年7月におせちセットを購入したユーザーの6割がリピーターだとしている。

千賀屋では2021年度から、おせちセットを自治体のふるさと納税の返礼品として出品を開始した。ふるさと納税経由の予約の開始時期はさらに早く、6月から開始。自社ECサイトも7月から予約を開始したという。「2020年は、コロナの影響で受注数が増加したため、在庫が足りず完売となってしまい、チャンスロスが多かった。今年は製造量を増やし、昨年以上の売り上げを見込んでいる」(同)と話す。


※本記事で使用したデータは、Nintが提供するデータ分析サービス「Nint ECommerce」を活用して得た。「Nint ECommerce」では、楽天市場やアマゾン、ヤフーショッピングといった主要ECモールの分析が行える。ジャンルの売り上げや個別の商品の売り上げを分析できるだけでなく、ショップごとの売り上げや、出店店舗別の広告の出稿状況のデータも収集できる。モール内のジャンルごとのトレンドや、競合他店の売れ筋商品の変化、広告出稿状況を分析することが可能だ。

Nint ECommerce→https://www.nint.jp/ec/

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