2021.09.22

ECと実店舗の物流を一つに 倉庫自動化で得られる4つのメリット【「オートストア・システム 鴨弘司社長」連載第4回】

実店舗の在庫を小規模に自動化することで輸送を効率化できる

過剰なコストの減少


米サプライチェーンメディア「SupplyChainDive(サプライチェーンダイブ)」の2019年5月の記事は、米百貨店チェーンの「Target(ターゲット)」が、店舗型からeコマース型のフルフィルメントシステムに切り替えたことにより、40%のコスト削減に成功したと報じていいます。

TargetのCEOブライアン・コーネル氏は、「商品の発送を、消費者から遠い物流拠点から、消費者に近い拠点へと切り替えることにより、90%のコスト削減になる」と説明しています。

同様に、ウォルマートでは、デジタル化された注文を処理するために、注文者に最も近い店舗を大きく活用しています。これは、配送センターでの注文処理にかかる時間とコストを削減するための取り組みです。

自動化されたマイクロフルフィルメントシステムは、大規模倉庫並みの容量を持ちながら、地域の店舗にも設置できるほど小型な設計にもなっています。小売業者は、店舗での集荷または配送の両方を通じて、地域の需要に素早く対応することができます。

このシステムは、季節的なセールイベントや世界的なセールイベントなどがあった際に、需要の増加に対応するために必要な、物流の柔軟性を、小売業者に提供できます。分散した消費者に近い拠点で行われる物流の自動化は、物理的に離れた場所での作業以上に、現場でのオペレーションをサポートできます。ロボットに在庫の検索や取り出しの作業をさせることで、労力や発注ミスの軽減に貢献します。
 

ロボティクスを理解する。自動化は新しいものではない


自動化された倉庫スペースやオーダーフルフィルメントシステムを自社物流に採用するには、何が自社のお客さまに適しているのかを理解するためのリサーチが必要です。

当社は、20年以上の経験から、自動化を実用的なレベルでビジネスをサポートできます。それには、四つの重要な領域を提案します。密度、柔軟性、信頼性、および可視性です。

これらの分野を組み合わせることで、効率性、生産性、そして健全な利益率を実現し、注文ミスの減少を可能にします。


1.密度


小売スペースの密度を高めることで、企業はより小さなスペースに多くの商品を保管することができます。自動化をより洗練させれば、倉庫のストレージを立方体構造にスケールダウンすることができます。より大きなビン(オートストアシステムで在庫を補完する箱)を使用して、より多くの注文に対応すれば、利益を増やすことができます。

配送コストが上昇し続ける中、小売業者は競争力を維持するために、コスト削減の方法を見つけなければなりません。緻密な自動化システムのようなテクノロジーを、地域レベルで活用することで、オーダーフルフィルメントの効率とスピードを向上させます。1時間以内の集荷など、より低コストの配送サービスオプションを提供することが可能になります。


2.柔軟性


ビジネスはすぐに変化します。どのようなビジネスにおいても、柔軟性は常に重要ですが、今日のような世界的なコロナの大流行の場合は特にそうです。

eコマースの成長速度は、パンデミック前の対前年比での成長予測をはるかに超えています。今後数カ月から数年かけて、市場規模はさらに成長を続けることが予想されています。

しかし、今後この成長がどれだけ拡大するか、そしてその成長が頂点に達するまでにどのくらいの期間がかかるのか、いまだ不確かです。

その結果、季節的なトレンド以外にも、お客さまのかごの大きさや注文の頻度、購入したい商品の品ぞろえまで、小売業者が準備しなければならない多くの未知の変数があります。

市場の需要を先取りするためには、柔軟性が不可欠です。ロボティクステクノロジーはシームレスに方向転換し、新たな期待に応える機能を提供しつづけています。注文の増加にも対応できますし、既存の商品や新商品を収容するためにスペースが必要な場合にも、すぐさま追加できます。あらゆるトラブルに対応可能なのです。
 

3.信頼性


機械システムと自動化されたシステムの有効性とその信頼性にも、大きな違いがあります。

受注の際に、最後に小売業者が心配する必要があるとすれば、それはシステムのダウンタイムです。 在庫にアクセスしたり注文を処理したりする機能が停止することは、ビジネスに悪影響を及ぼすことを意味します。 競争力を維持するためには、密度を犠牲にすることなく、いつでも在庫情報に遅延なくアクセスできることが必要です。可能な限り100%に近いシステム稼働時間を提供するシステムが必要ということになります。

小売業者は、システムが常に利用可能であるという自信を持っている必要があります。 それ以上重要なものはないと考えています。


4.可視性


最後に、小売業者が考慮すべき最新の領域は「可視性」です。これには、在庫、価格、注文の需要、出荷予定などに対する可視性が含まれます。

英シンクタンクのeConsultancyによると、オンラインショッピングの利用者の38%が、注文の受け取りに1週間以上かかる場合、カートを放棄するそうです。1週間程度なら許容できる範囲ですが、そのうち69%のお客さまは、到着日が厳守されない場合、次回から購入しない可能性があります。

可視性は在庫の正確性にも貢献します。これは、顧客の獲得、注文の処理、バスケットサイズの拡大、カートの放棄の削減には不可欠な要素です。

在庫の正確性は63%程度しかないと言われています。つまり、在庫切れのメッセージによって、約40%のお客さまがカートを放棄したり、お店に戻ってこない可能性があるということです。在庫レベルを把握することで、需要の先取りすることができます。

買い物客にとって、注文した後に在庫切れのメッセージを受け取ることほどイライラすることはありません。

eコマースの需要は今後も増え続けることでしょう。 


あなたはその挑戦に応える準備ができていますか?


eコマースは今後常に、実店舗よりも優位に立つことでしょう。しかし、実店舗という環境は過去のものになったわけではありません。バランスを取る必要があり、それを最も効果的に行うことができる企業が成長・発展を遂げることとなるでしょう

実店舗は、常にお客さまの購買体験の中核を成しています。物理的な小売を完全に排除するのではなく、効果的な複合的システムを構築することが重要となります。

ブランドは、これまで店舗が担ってきた役割を拡大する必要があります。そのためには、既成概念にとらわれない発想と、店舗の成功を評価するための指標を見直す必要があります。

また、オペレーションの流れも見直す必要があります。歴史的に見ても、eコマース、小売、サプライチェーンは、組織中で別々に運営されてきました。しかし、eコマースや「マイクロモーメント」と呼ばれる新しい購買行動の台頭により、ブランドはお客さまの期待に応えるために、これらのオペレーションを統合する必要に迫られています。

同様に、ブランドにとっては、在庫状況をより適切に管理することが必須となるでしょう。

自動化やロボティクステクノロジーを導入することで、eコマースと実店舗の二つの世界を、文字通り一つの屋根の下にまとめ、ブランドのオペレーションの中核とすることができます。

自動化により、スタッフの反復作業を取り除くことが可能で、店舗レベルで適用すれば、より高い精度と生産性でクロスチャネルの注文に対応することができます。

これにより、実店舗としての地位を維持しつつ、返品対応や地域でのeコマースの注文にも対応し、店舗全体のオペレーション効率を向上させることができます。

それは、eコマースとブリック&モルタル(従来型の店舗販売)の融合の場なのです。(終わり)


AutoStoreについて


AutoStore、倉庫内のロボットストレージシステムを提供しています。世界中に600社以上の導入社数を誇り、多くの大規模なブランドから信頼されています。 AutoStoreは、20年以上にわたり、顧客向けのシステムの革新と改善を続けてきました。 eコマースグローサリー業界で高い競争力を実現するために必要な密度、柔軟性、信頼性を提供します。

1996年に設立されたAutoStoreは、業界で最も高密度のストレージソリューションであるキューブストレージオートメーションを発明し、そのパイオニアであり続けるロボティクステクノロジー企業です。 私たちは、ソフトウェアとハードウェアを人間の能力と結びつけて、倉庫保管の未来を創造することをミッションとしています。 当社はグローバルに事業展開し、30ヵ国において、幅広い業界での導入実績を有します。 AutoStoreのすべて製品は、認定システムインテグレーターのネットワークによって流通、設計、インストール、およびサービスされています。

本社はノルウェーのNedreVatsにあり、米国、英国、ドイツ、フランス、日本、韓国、ポーランドにオフィスを展開しています。




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