2021.09.17

自転車専門通販サイト「cyma」、初の通期黒字化 コロナ禍で高まる自転車需要が後押し

エイチームは9月15日、グループ会社のエイチームコマーステックが運営する自転車専門通販サイト「cyma-サイマ-」が、2021年7月期の決算において、売上高35.9億円(前年比12.5%増)の過去最高額を記録したと発表した。2013年12月のサービス開始以来8年目にして初の通期黒字化を達成した。好調の要因として、在庫の適正化などに加え、コロナ禍の3密を避けるパーソナルな移動手段としての自転車需要による追い風を挙げた。

「cyma-サイマ-」は、新規事業案コンテスト「A+」でグランプリを受賞し、2013年12月にライフスタイルサポート事業の1つのサービスとしてスタートした自転車専門通販サイト。エイチームでは、エンターテインメント事業、ライフスタイルサポート事業に次ぐ第三の柱として、2016年8月に単独事業としてEC事業を新設。現在は、2021年4月に設立したエイチームコマーステックで同事業を運営している。2020年度7月期第3四半期(2020年2~4月)で初の四半期黒字化を達成しており、2021年度7月期通期決算では事業開始以来初の通期黒字化を達成した。また同時に、売上高35.9億円(前年比12.5%増)の過去最高の売上高を記録した。



「cyma-サイマ-」初の通期黒字化についてエイチームは、サービス開始以来積み上げてきた物流オペレーションの改善に加え、仕入れ・物流・販売のサプライチェーンの改善が業績改善に奏功したとの考えを示し、黒字化の主な要因として、「在庫の適正化」「品揃えの見直し」「オペレーションの改善」の3つを挙げた。加えて、コロナ禍の3密を避けるパーソナルな移動手段として自転車需要が高まっていることが業績に影響したとしている。国内唯一の自転車専門通販サイトとして完全組立自転車をオンラインで販売し、自宅まで配送するサービス特性から巣ごもり消費が後押ししたと考えられるとした。

「cyma-サイマ-」では、黒字化の要因として挙げた「在庫の適正化」に伴い、保有する在庫量と回転率を管理する精度が大幅に改善。一時は3万台に及ぶ在庫数を2019年頃には1万台にまで削減、直近では7000台まで抑えて効率的な運用を実現した。小売業において管理工数やコストの要因となる在庫の保有を最小限に抑えることで黒字化につながった。要因の2つ目とした「品揃えの見直し」では、消費者のニーズに合わせて売れ筋の商品を特定しながら、品揃えや在庫の見直し、販売方法の最適化を推進。豊富な商品から好みの1台を選べるように200種類以上の品揃えを提供している。商品の仕入・販売から整備・出荷に至るまでのサプライチェーンを自社でコントロールしており、各工程において業務改善や連携を進めてきた。業務の効率化を図りながら、各プロセスにおけるチーム連携を強めることで、入荷から出荷までの時間短縮、コストの最適化を実現し、「オペレーションの改善」に成功したことも黒字化に貢献した。

国内自転車市場(製造及び輸入台数)は2012年の951万2000台から2018年の703万2000台へ緩やかに減少した後、2019年には712万5000台へ回復した。また、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年4月~6月には、前年同時期比12.1%増の204万8000台を記録。原価率を50%とした場合の国内の自転車小売市場の規模は2600億円と推定され、安定的に推移している。2020年以降は、コロナウイルス感染症が拡大・長期化するなかで、3密を回避しながら感染リスクを低減するパーソナルな移動手段として自転車需要が高まっている。加えて在宅勤務を始めとした新しい働き方が広まるなか、自宅周辺で使える身近な移動手段としても注目が集まっている。こうしたコロナ影響による自転車需要の高まりが、「cyma-サイマ-」の業績の追い風になったとの考えを示した。



エイチームコマーステックは、「ココロが動く買い物を」をミッションに、さまざまな商材を取り扱う複数のECサイトの企画・開発・運営を行っている。今後、「サイマ」においては国内最大級の自転車専門通販サイトとしてナンバー1を目指すとしている。また、これまでに築き上げてきたアセットを他の商材でも生かし、複数のECサイトを展開していく考えを示した。




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