2021.09.16

【「eBay.com」日本展開強化の狙いを聞く】eBay イリヤ・クレトフ氏「日本語化の次はサービスのローカライズへ」

eBay グローバル新興市場ジェネラルマネージャー イリヤ・クレトフ氏


真贋鑑定、中古保証などサービス強化も検討


――日本のバイヤーが買いやすくするために今後、強化する点は?

現在は部分的な日本語化だが、次のステップとしてフルローカライズを進める。バイヤーが作成するコンテンツもあるので、フルローカライズは技術的に難しい面もある。工夫の必要があるだろう。

フルローカライズが完了したら、日本でも米国で展開している戦略を適用させたいと考えている。

例えば、米国では真贋鑑定をするセンターを通して、セラーが高級品をバイヤーに販売する仕組みがある。これは越境取引に対応していないサービスだが、日本にもぜひ展開したいと思っている。

他にも、米国では型落ちした新古品や中古品にメーカー保証を付けて販売するサービスもある。これもグローバルでは展開できていないが、将来的に日本でも利用できるように対応する可能性がある。

――日本のバイヤー向けのカスタマーサポートなども展開する計画はあるのか?

これまでは英語での対応のみだった。日本でフルローカライズに対応するにあたり、サービス面もローカル言語で対応していく必要があると思っている。

他の国の例でいうと、フルローカライズした国では、マーケットの盛り上がりが見えた段階でローカル言語でのサービスを始めている。中国ではトップバイヤー限定でローカル言語でのサポートを提供している。トップバイヤー向けのサービスを、他の国にも広げていくか検討しているところだ。

――eBayグループでは国内でECモール「Qoo10」を展開している。「eBay.com」との連携はあるのか?

複数のビジネスを展開している地域は他にもある。ニーズがあれば国内向けサービスとのコラボレーション(コラボ)も実施している。トルコでも国内向けECモールを展開しているが、このサービスでは越境ECができないシステムだったため、セラーの商品マスターを国内モールと「eBay.com」で共通化することで、トルコのセラーの越境ECを支援できるようにした。

日本はトルコと同じ状況ではないので、コラボのやり方は異なるかもしれない。日本でのコラボのやり方として、例えば検索の共通化という方法もある。ローカルとグローバルの在庫を網羅して検索できるようにする取り組みだ。

検索の共通化は、他国でも実験的に進めている。一部の地域ではうまくいっており、上手くいかないケースもある。日本ではコラボを進めていこうとしている段階なので、検討しながら取り組んでいきたい。


<イリヤ・クレトフ(Ilya Kretov)氏 プロフィール>
2020年2月にeBayのグローバル新興市場ジェネラルマネージャーに就任。世界200カ国に販路を有する米国企業としては唯一のロシア人経営幹部として、eBayの海外展開を統括している。主要な役割は、中小企業の開拓と、グローバル市場でのバイヤーエクスペリエンス向上の2つ。この役職に就く前は、eBayでロシア、イスラエル、およびヨーロッパ新興国担当のジェネラルマネージャーを務めていた。eBayには、2013 年にマーケティングディレクターとして入社している。それ以前は、GoogleやMarsなどの大手企業のマーケティング部門で上級職を歴任した。彼の著書として「Being the CEO(CEO であるために):キャリアを築き、200カ国でビジネスを展開し、幸せな3万日を過ごす方法」がある。趣味はトライアスロンで、アイアンマンレースに何度も出場している。




RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事