2020.03.30

「Xショッピング」の狙いは「品ぞろえ」「PayPay」「データ」

「Xショッピング」を発表したZホールディングスの川邊健太郎社長

リアル店舗を取り込む


Zホールディングス(HD)が新たに取り組む「X(クロス)ショッピング」は、リアル店舗を一気に取り込んでいく狙いがありそうです。子会社のヤフーはこれまで、ECモールでネット店舗の取り込みを図ってきました。ネット店舗の取り込みでは、楽天やアマゾンと差別化は難しいでしょう。個性豊かなリアル店舗をネット上に引っ張り出すことで、差別化もできると考えているのではないでしょうか。



そもそも「Xショッピング」とは、リアル店舗の在庫データを連携し、「PayPayモール」上でネットとリアルの取扱商品を一気に確認できるようにするサービスです。ユーザーはリアル店舗に出向くまでにネットで在庫を確認できるため、「せっかく来たのに目当ての商品を取り扱っていなかった」という機会損失を避けることができます。店舗側からすると事前にネットで決済したユーザーが、リアル店舗に来店することで、商品購入の満足度を高めたり、ついで買いを促したりできるかもしれません。

「PayPay」でリアルとネットのデータ把握


ZHDがリアル店舗の取り込みを図る狙いは、ECモールの品ぞろえだけではありません。親会社のソフトバンクも含んだグループを挙げて取り組むスマホ決済「PayPay」のさらなる普及も狙いでしょう。サービスの紹介動画では、たこ焼き器を求める若者が、「PayPayモール」で商品を探し、ポイント還元などの魅力もある「PayPay」で決済してから、リアル店舗に受け取りに出向くシーンを紹介していました。

ZHDがリアルとネットの決済を「PayPay」で押さえることができれば、さらに価値のある”データ”を集めることができます。消費者はリアルとネットを使い分けており、ネットだけのデータを把握できてもユーザー像を正確につかむことはできません。ネットとリアルがつながった消費行動を把握できれば、ユーザー像はよりリアルになり、ZHDはさまざまなマーケティングで優位に立つことができるでしょう。

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