家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS（クラス）」を運営するクラスは9月8日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、モノフルのグループ会社（以下：モノフル）などを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額約21億円の資金調達を行ったと発表した。今回の資金調達により、採用・組織体制の強化、サービス提供エリアおよび取り扱いジャンルと商品点数の拡大を行い、サブスクのマーケットプレイスとして加速化を図る。
クラスは、「“暮らす”を自由に、軽やかに」をビジョンに掲げ、変化に応じた最適空間の提供を目指し、月々440円から家具・家電の利用・交換が行なえるサブスクリプションサービスを個人および法人向けに展開している。2021年8月にはサービス開始3周年を迎え、テレワークの普及や自宅時間の増加、オフィス環境や働き方の変化により、毎年3倍を超える成長を遂げている。
100社を超えるメーカーの商品と、100点ほどの自社プライベートブランド家具を取り扱っており、ユーザーが気軽に発注・交換ができ、最小負担で利用できる場を提供するとともに、メーカーが一切の手間なく簡単に出品し、継続的に収益を得ることができる環境を整えてきた。返却品は、専門のリペア職人による修繕やリフレッシュを施し、再貸し出し可能な状態にして次のユーザーに利用してもらう。商品を廃棄せずに循環することで、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」の達成に貢献している。
このほどグロービス・キャピタル・パートナーズ、モノフルなどを引受先とする第三者割当増資により、総額約21億円の資金調達を実施。これにより同社の累計資金調達総額は約28億円となった。
不確実性への柔軟な対処が求められる昨今、ユーザーは所有せずに必要なものを必要な時だけ利用する「持たない消費」、メーカーは商品を売ったら終わりではなく「継続的に収益を上げるビジネス」への参入と、それぞれの立場での「所有しない利用」へのニーズが高まりつつある。
クラスは、今回調達した資金を活用し、サービス提供を全国展開するため、各主要地域での商品発送と返却品回収の物流体制の構築に加え、倉庫管理のDX化のさらなる推進を図るとしている。メーカーと事業収益を分配するレベニューシェア契約を積極的に結び、取り扱いジャンルと商品点数を拡大し、個人・法人の商品を共通化したカートシステムを強化。サブスクマーケットプレイスとして加速を図る。これらの実現のため、2023年までに200名規模へ向け採用・組織強化を図る。
必要なときに必要なものをレンタル、不要になったら返却する、循環型の「所有しない利用」を促進することで、変化に応じた“最適空間”を提供し、QOL（生活の質）を向上させるとともに環境負荷軽減に取り組んでいくとし、ビジネススケールと持続可能な社会の実現、双方の両立を目指して事業展開していく考えを示した。
【引受先からのコメント】
グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル 野本遼平氏家具などのいわゆる耐久材は、高額であるにもかかわらず、まだまだ使える状態で廃棄されることが少なくありません。それは、部屋やオフィスなどの空間が「賃貸」ゆえに流動的である一方で、空間と一体的に利用される耐久財を所有してしまっているからです。「先が見えない」不確実な時代において、環境変化に対応する柔軟性はますます重要になっていると同時に、環境保護の必要性も強く認識されてきています。この点「CLAS」は、テクノロジーの力を使って、ユーザーが環境にあわせて耐久材を利用・交換・返却することができるマーケットプレイスを運営しており、今後さらにその規模を拡大していきます。耐久材メーカーにとっての収益性向上、ユーザーにとっての空間設計の気軽さ・柔軟性、そして環境への配慮を、高いレベルで同時に実現し続けることを期待しています。
モノフル 代表取締役社長 藤岡洋介氏代表の久保さんは、引越しで多くの不便を個人としても、会社の経営者としても経験されました。例えば、家具の移動は重くて手間、捨てるにも廃棄料がかかり、引越し先に所有する家具が合わず使える家具を捨てる罪悪感、レイアウトを考える手間といった煩わしさがあります。「CLAS」のサービスは、人々のライフスタイルや価値観の多様化に合わせて、必要な時に必要なモノをレンタルすることを可能にしました。「“暮らす”を自由に、軽やかに」という久保さんのビジョン通りのサービスで、人々の生活様式・業界のGame Changerになれると期待しています。この度は、サービスの拡充フェーズで、弊グループの強みを活かして物流体制の構築や強化のサポートに携われることを嬉しく感じます。何より、このサービスを実現できる深い業界知見と優れた実行力を持つチームとご一緒できることが楽しみです。
