2021.09.02

【「楽天EXPO」三木谷社長講演】2030年にEC流通10兆円目指す モバイル契約で「楽天市場」利用額は77%増に

楽天グループ(楽天)は9月2日、「楽天市場」の出店者向けオンラインイベント「楽天EXPO2021」を開催した。三木谷浩史社長は「今年、国内の年間EC流通総額は5兆円いける。エコシステム(楽天経済圏)を拡大し、2030年くらいまでに10兆円を目指したい」と話した。楽天経済圏拡大の目玉といえる「楽天モバイル」と「楽天市場」のシナジーについては、「楽天モバイルの契約者は、契約前と比べて年間流通総額が77%伸びている」(三木谷社長)と説明し、高いシナジー効果があることを強調した。



三木谷社長は講演冒頭で「楽天市場」の歴史を振り返り、「楽天は創業から25年になる。地方の小さな店舗さんや企業を助けたい思いで、若者と創った。消費者が安心して買える、買いたい商品が見つけやすい、コミュニティがあって楽しいなどを目指し、さまざまな課題を25年間、解消し続けてきた。その中で皆さんにルールを作り、多少不便なところはあるかもしれないが、ここまで協力していただいてきた」(同)と話した。


コロナ禍も力強く成長、2年平均成長率は23.6%増


コロナ禍での力強い成長についても説明。「2021年度上半期の国内EC流通総額は2.3兆円になった。昨年の夏はコロナ関連商品などが爆発的に売れたが、それでも今年は17%くらい伸びている。2年間の平均成長率は23.6%増と成長を続けている。『コロナの期間だけ伸びたんじゃないの』という見方もあるが、実際はその時に増えたユーザーさんが定着し、成長していっている」(同)と解説した。



ユーザー定着率(2021年度第1四半期に購入したユーザーが同第2四半期に購入した割合)は約76%に達している。共通の「送料込みライン」の導入効果もあり、「楽天市場」の2021年6月時点のNPS(ネット・プロモーター・スコア=顧客ロイヤルティを数値化した指標)は、2020年1月と比較して9.0ポイント改善している。日経BPコンサルティングが調査した「Webブランド指数総合ランキング」で「楽天市場」は500サイト中1位の評価を得ているという。


「楽天モバイル」の回線数は500万突破、早期に2000万超へ


モバイルにおける楽天の戦略についても説明した。

「『楽天モバイル』の大きな戦略は3つある。1つ目はMNO事業としての成長、2つ目はエコシステム連携、3つ目はグローバル展開。われわれは『トライアングル戦略』、一言で言うと『一石三鳥』と言っている」(同)と紹介した。



国内におけるモバイル利用は6年間で約5倍増えており、今後もモバイル経由のデータ通信料はますます増えていく。携帯料金が高まる中、「楽天モバイル」はモバイル料金の民主化を目指し、プロジェクトを開始している。世界主要6都市の中で、2020年時点の東京は最も高い携帯料金だったが、2021年には2番目に安い水準になった。

「『楽天モバイル』はMNOとMVNOを合わせれば、すでに500万回線を突破しており、ユーザー数は早晩、2000万~3000万規模になっていくだろう。目標としては第4の携帯電話会社ではなくて、日本の大半の方が『楽天モバイル』か、他社が追随してくればそういうようなサービスを使っているようになればいいと思っている」(同)と話した。



「楽天モバイル」の顧客獲得ペースは「楽天カード」の4.8倍のスピードで進んでいるという。通信ネットワークの拡張においても、人口カバー率は90%を超えており、来年頭には人口カバー率は96%を超える見込みだという。全国的に利用者獲得に拍車をかけられると意気込みを語る。


モバイル契約後、「楽天市場」の利用額が77%増


「『楽天モバイル』はすでに『楽天市場』の流通拡大に大きく貢献している。楽天グループの新規ユーザーの約20%が『楽天モバイル』から入ってきている。新規ユーザーの3人に1人は早い段階で『楽天市場』のユーザーになっている」(同)と話す。

さらに「これが衝撃的だが、『楽天モバイル』に入ると77%も『楽天市場』での買い物の量が増える」(同)と説明した。



「楽天モバイル」契約後の月間利用額は、新規ユーザーは約3000円、1年以上利用がない休眠ユーザーは約4800円、既存ユーザーは契約前の61%増にあたる約2万1000円になっている。「楽天モバイル」契約者のダイヤモンド会員比率は契約から半年で10ポイント高まるという。5G時代が本格到来すると、楽天経済圏は爆発的に拡大すると予想している。



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