2020.03.29

LINE、出前館を実質子会社化 「出前」「持ち帰り」「来店予約」まで網羅へ

新たに出前館の代表取締役社長に就任するLINEの藤井英雄執行役員O2OカンパニーCEO

計300億円を出資


LINEは3月26日、日本最大級のデリバリーサービス「出前館」を運営する出前館と資本業務提携を締結し、実質子会社化することを発表した。出前館が第三者割当増資として新たに発行する約 300億円の新株式を、LINEが150億円、LINEと関連会社が共同で出資する未来fundが150億円、それぞれ引き受ける。増資引き受け後、出前館に対する株式保有比率は、LINEが35.87%、未来fundが25.05%となる。 

3月26日に資本提業務携にかかる契約を締結し、4月17日〜5月15日に第三者割当による新株式の払い込みを実施する。LINEが指名する3人を出前館の取締役候補者とすることも合意している。

出前館の社外取締役を務めるLINEの舛田淳取締役CSMOが引き続き就任を予定しているほか、LINEの藤井英雄執行役員O2OカンパニーCEOが代表取締役社長、藤原彰二O2OカンパニーCMOが取締役の候補者となる。現在、代表取締役社長である中村利江氏は、代表取締役会長に就任する。正式には6月開催の株主総会で承認を得て、決定する。

資金とシステム、マーケティングの課題を解決


中村利江社長は、今回の資本業務提携の狙いについて、「非常に大きな競合が出てくる中でどうしても資金が欲しかった。資金がないと戦えないと感じた。大きな成長投資をしないといけない。一番の経営課題としてこれまでチャレンジしてきたシステム開発とマーケティング体制の強化も解決できる。テイクアウト領域への進出も実現したい」と語る。


出前館の中村利江社長

LINEの舛田淳取締役CSMOは、「LINEがスーパーアプリ化していく上で、食の領域は必ず必要だと考えた。LINEとしても積極的かつ攻撃的に投資をしていくことを決め、当初の計画よりも規模の大きい出資額となった」と話す。


LINEの舛田淳取締役CSMO


スーパーアプリ化において食の領域は必要不可欠と判断

サービスブランドを統一


LINEと出前館は2016年5月23日より業務提携を締結している。出前館の加盟店基盤を生かし、LINEアプリ上でデリバリーサービスを利用できる「LINE デリマ」を2017年7月26日から運営している。

LINE と出前館は資本業務提携により、「サービスブランドの統一」「投資資金の確保」「システム開発およびマーケティング体制の強化」「テイクアウト領域への進出」の4つを強化する。これまで双方で展開していたフードデリバリーサービスを「出前館」に統一する。LINE からエンジニアを派遣し、「出前館」のシステム強化を図る。将来的には、出前館IDとLINE IDを統合する計画もある。

LINEの藤井執行役員O2OカンパニーCEOは、「LINEの8000万超のユーザー基盤を生かし、出前館が展開しているシェアリングデリバリ―(配送代行)とLINEが展開しているテイクアウトを組み合わせることで、『誰でも』『いつでも』『どこでも』、食べたいものは『何でも』そろうサービスを目指す。サービスブランドの統一はすぐにでもやりたい。システムや会員IDの統合は、年内もしくは来年早いうちに実施したい」と話す。


LINEのユーザー基盤を生かし、出前やテイクアウトなどを提供

LINEの藤原O2OカンパニーCMOは、「昨今の新型コロナウイルスの影響で、スーパーには食品がない状況。ユーザーさまには出前館を選択していただきたい。また、飲食店も影響受け、苦しんでいる状況なので、救っていきたいと思う。一緒にフードマーケティングに取り組んでいきたい」と話した。


藤原彰二O2OカンパニーCMO

LINEのユーザー基盤と出前館の加盟店営業力を生かし、デリバリーだけでなく、テイクアウト、イートイン予約、モバイルオーダ ー、クラウドキッチンなど、飲食店のサービスを網羅的にカバーする「総合フードマーケティングプラットフォーム」を目指す。

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