2020.03.28

イーコマース事業協会、群馬県警の中国不正転送業者の実態把握・防止対策に協力

群馬県警察本部 サイバー犯罪対策課長 佐藤浩警視(写真左)から依頼書を受領するイーコマース事業協会の吉村正裕代表理事

一般社団法人イーコマース事業協会(EBS、本部大阪府、吉村正裕代表理事)は2020 年 3 月 26 日、群馬県警察本部から「EC サイトにおける購入物品転送事業者(輸出先:中華人民共和国)の実態把握及び犯罪未然防止対策の強化」について協力依頼書を受領したと発表した。EBSは群馬県警からの依頼に応じ、EC事業者が不正転売事業者の標的とされている事態の周知を図る。

2019年末、群馬県在住者のクレジットカードが不正利用されたとの被害相談が群馬県警に寄せられたという。群馬県警サイバー犯罪対策課が捜査した結果、「中国からクレジットカード情報を不正使用し、国内のECサイトに注文が入った。配送先を国内にある関連会社の転送業者に指定し、その業者を通じて中国へ不正取得した商品を大量に送っていた」 という事件であることが分かった。捜査を進めていく中で 「クレジットカードの不正使用や、それに伴う被害について、知識や認識に乏しい EC 事業者が多かった」 という。

群馬県警察本部 サイバー犯罪対策課長 佐藤浩警視から、EBSに対して、EC事業者への注意喚起の依頼があり、吉村代表理事は依頼書を受領した。

手口の巧妙化・大規模化を指摘


吉村代表理事は、自身の経験からの手口が巧妙かつ大規模になっていると感じたという。

「今回の事件は 『転送事業者を装った大規模な国際組織的犯罪』 だと感じました。実は、2016年4月、私のクレジットカード情報がかつて利用したネットショップから流出したことがあります。私のカードがネットショップで不正利用され、商品が神奈川県内のマンションに送られていました。私の場合は、神奈川県警国際捜査課が迅速に動いてくれたことや、クレジットカード会社が『チャージバック』を行ってくれたことにより、私にとっては大きな被害はありませんでした。私の事件では、犯人グループの商品送付先は日本国内のマンションの一室でしたが、 今回は日本国内で倉庫を借りて、組織的に転送事業者と装って業務を行っていたそうです。しかもそういった業者が国内に複数存在しているそうです。私が被害にあった4年前と比べ、各段に『大規模』 で『組織的』、さらに『おおっぴらに』 行っている点が大きく異なります」(吉村代表理事)と話す。

最も被害が大きいのはEC事業者


このような犯罪で被害を受けるのは、クレジットカードを不正利用された一般消費者と、不正購入の対象となるEC事業者だ。クレジットカードを不正利用された一般消費者は、カード会社による「チャージバック」により、不正利用された金額が返金される可能性がある。

一方、EC 事業者はチャージバックが発生した場合、商品の代金をカード会社経由で消費者に返金しなければならず、商品も失い、さらに代金を返金しないといけないという事態に陥る恐れがある。

吉村代表理事は、EC 事業者が行える対策として「①本人確認の徹底(消費者情報とカード情報が合致しているかを確認)②換金性の高い商品の大量注文された際の注意③セキュリティ強化(セキュリティコードの導入、3D セキュアの導入、検知システム活用など)④被害にあった際の情報共有(特に中国向け転送事業者の実態把握)――が考えられると思います」と解説する。

EBS は、会員事業者ならびに業界関係先、関係団体に対して注意喚起および啓蒙を行うという 。EBS会員には、3月中に動画で啓蒙する計画もある。


一般社団法人イーコマース事業協会

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