2021.08.28

通販の返品率は5~10%が最多 エルテックスが「通信販売事業関与者の実態調査2021」を公開

ECサイト構築/通販システム構築・支援を手がけるエルテックスは8月27日、独自調査の結果をまとめたレポート「通信販売事業関与者の実態調査2021」を公開した。「通販事業全般の課題」「EC/通販システム導入時の重視点」「年商規模別返品率」などを集計・分析しており、EC/通販の商品返品率は5~10%がボリュームゾーンであることなどがわかった。

【<グラフ5点>主な調査結果はこちら】

エルテックスでは、2000年頃よりECサイト/通販システムの開発、及び構築を積極的に推進。関連する市場動向把握のため、今回で17回目となる独自調査「通信販売事業関与者の実態調査2021」を実施した。通信販売事業に携わる担当者の「通販事業へ対する課題」「EC・通販システム導入時の重視点」など昨年同様の内容の定点調査のほか、「出荷した商品の返品率」について集計・分析を行い、その結果を公開した。自社の中核顧客である通販企業の実態を把握したうえで、通販ビジネスの強化、通販サービス質の向上に向け、製品やソリューションサービス改善につなげたいとしている。

同調査の実施期間は、2021年6月25日~28日。年商規模1億円以上の通販事業に携わる、マーケティング・広告・宣伝、業務(受注、決済、配送、その他の業務)、情報システムいずれかの職種の社員などが対象で、回収サンプル数は300件。

出荷数に対する商品返品率に関しては、調査対象全体でのボリュームゾーンは「5-10%未満」の23.7ポイントという結果となった。年商10~100億円未満の事業者では、「5-10%」の返品率が全体平均より少ないものの、5%以上の返品率では60ポイントと、3段階の年商別で高返品率が目立つ数値となった。一方、年商100億円以上の事業者では、5%未満との回答が5割を超え、1~10億円未満、10~100億円未満の事業者に比べて返品を抑え込んでいる様子がうかがえるとした。


【質問】あなたの事業所での出荷に対し返品される数値(返品率)で、いちばんあてはまるものをひとつだけお選びください。(単一回答)


EC/通販ビジネスで重要と感じていることについて、「いくつでも選択可」として尋ねた問いでは、事業者全体で前年に比べて目立ってスコアが低下したのが「よく売れる商品の開発」(-7.3ポイント)と「事故が起きない安全なシステム強化」(-7.3ポイント)で、そのほかの項目は目立った変化は見られなかった。


【質問】あなたの会社、事業所の通信販売事業(EC:エレクトロニック・コマースを含む)について、ビジネス上重要と思われるものをいくつでもお選びください。(複数回答) 


一方、同じくEC/通販ビジネスで重要と感じていることについて、「ひとつだけ選択」を求めた問いでは、「売り上げの拡大」が事業者全体で40.7ポイントと、もっとも多くの回答を得た。年商別の集計では、「売り上げの拡大」「事故が起きない安全なシステム」の2項目に関して年商が増えるほどスコアも上昇し、逆に「既存のお客様へのサービス向上」は低下しており、年商の違いで課題意識も異なっているとした。また、2021年の夏は全国で新型コロナウイルス感染者が急増しているが、「新型コロナウイルスなどの感染症対策」は全体で2.3ポイント、100億円以上では0ポイントとなり、巣ごもり需要などで業績が伸びているEC/通販事業社などもあることから、当該項目が選択されなかった可能性があるとしている。


【質問】あなたの会社、事業所の通信販売事業(EC:エレクトロニック・コマースを含む)について、ビジネス上重要と思われるものをひとつだけお選びください。(単一回答) 


通販の販売管理システムやECシステムの導入時の重視点について、複数回答で尋ねた問いでは、前年比ではあまり大きな変動は見られなかった。唯一、「導入や運用のコスト」の項目が、2019年に一旦スコアをさげたものの、この3年間でじりじりとスコアを上げていることがわかった。一方、同じく通販の販売管理システムやECシステムの導入時の重視点ついて、「ひとつだけ選択」を求めた問いの結果を年商別で集計したところ、「導入や運用のコスト」項目のスコアの差が極端に異なり、年商100億円以上の事業者では約半数に迫る47.1ポイントとなった。年商1~10億円未満でも「導入や運用のコスト」が全項目中トップのスコアではあるものの23.4ポイントにとどまり、他の項目に分散していることが浮き彫りとなった。年商別の意識差が顕著に表れ、年商が増えると「導入、運用コスト」にシビアな傾向が確認できたとしている。



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