2021.08.12

【コロナ禍の成長企業分析】青山商事、通販売上高56.7%増 ECを主体とした商品展開も

青山商事の2021年3月期における通販売上高は、前期比56.7%増と大きく成長した。売上高は本紙推定で40億円。コロナ禍の打撃を受け、実店舗の売り上げが不振だった中、自社ECサイトを軸とした通販事業の存在感が高まった格好だ。

「(2021年3月期は)リアル店舗に代わる販売窓口としての需要拡大と、マスク特需という二つの大きな要素が、事業の売り上げ増加をけん引した」(デジタルコミュニケーションヘッドオフィス・藤原尚也ゼネラルマネジャー)と振り返る。

同社のマーケティング戦略で芯となっているのが「洋服の青山」ブランドが持つ商品力だ。「『洋服の青山』の強みである高品質な商品をしっかりと打ち出せるよう、サイト作りやSNSなどの顧客接点を構築している」(同)と話す。

2020年11月に刷新した自社ECサイトもそうした意図を反映したものだ。販売商品の魅力を前面に打ち出せるよう、よりシンプルな形にデザインを変更した。サイト刷新後も利便性向上の観点から、接客チャネルの拡充など機能実装を計画している。

ECサイトの利用者が拡大する中、SNSの活用も進んだ。「インスタグラム」ではライブ配信を定期的に実施。EC先行販売商品を取り上げるなど、チャネル連携を意識した情報発信を行っている。

今春にはライブ配信を通じた商品企画も開始した。女性フォロワーへのヒアリングやリアルタイムで交わされる意見をもとに、「理想の仕事服」を共同開発。プロジェクト発の第1弾商品となるブラウスを8月5日にECで先行販売を開始した。


SNS発の商品開発も実施

店舗での接客経験を持つスタッフが対応する自社コールセンターにおいて、非対面チャネルでも高品質の顧客対応が徹底されているのも事業の強みだ。「有人チャットの対応も店舗でノウハウが生かされている」(EC事業部長・岡本博氏)と言う。

実店舗を全国に持つ青山商事のOMO施策で象徴的なサービスが、店舗とECをつなぐ接客システム「デジタル・ラボ(デジラボ)」だ。


「デジタル・ラボ」

店頭に設置した端末から、利用者が商品情報やコーディネート提案、各販売チャネルの在庫状況を取得できる「デジラボ」は、コロナ下でも店舗とECとの橋渡し役として機能している。

現在の「デジラボ」導入先は約70店舗。青山商事は2022年3月期の1年間で新たに100店舗への導入を目指す。



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