2021.08.11

【コロナ禍の成長企業分析】ジュン、EC化率は30%突破 「Shopify」で刷新、リアルとの連携強化

JUN EC事業統括情報システム室 ロジスティクス部 取締役執行役員 中嶋賢治氏

アパレル大手のJUN(ジュン)はコロナ禍にEC売り上げを伸ばし、EC化率が30%に達しているという。2年後にはEC化率を40%まで高める計画だ。2021年5月には自社ECサイトを刷新し、リアル店舗と連携を高めるオンラインの基盤を強化している。

自社ECサイト「J‘aDoRe JUN ONLINE(ジャドール ジュン オンライン)」はもともと、オープンソースのECパッケージシステム「EC-CUBE(イーシーキューブ)」をベースに自社開発を加え、機能を強化してきた。変化の早いEC業界のトレンドやユーザーニーズに対応するため、日々開発を重ねることでコストもかかり続けていた。

今後の機能強化やリアル店舗との連携を考慮し、2年前からシステム基盤の移行を含むリニューアルプロジェクトを進めていた。基盤となるソリューションを選定する中で、グローバルなコマースプラットフォームである「Shopify(ショッピファイ)」を選択した。

「『Shopify』は世界中のECシステムの中で最も利用者が増えていて、パートナー企業を含めた開発のスケールも一番大きいソリューションだと思う。アプリが世界中で作られており、手軽に導入したり、自社に合わないと思ったら外すことができる。スピード感を持って機能改善できる点が決め手になった」(ジュン EC事業統括情報システム室 ロジスティクス部 取締役執行役員 中嶋賢治氏)と話す。

「Shopify Expert」の認定を受けているWebLife Japan(ウェブライフジャパン)が「Shopify」の導入を支援した。

「ここ1~2年で日本向けのアプリも増えており、アプリの利用率も伸びている。さらに海外の高機能なアプリの日本語化も進んでいる。今後は海外アプリを翻訳して使うケースも増えていくと思う」(ウェブライフジャパン 山岡義正CEO)と話す。


ウェブライフジャパン 山岡義正CEO(左)、JUN 取締役執行役員 中嶋賢治氏 (右)

ジュンでは「Shopify」の上位プランである「Shopify Plus」を導入している。限定機能を利用できたり、手厚いサポートを受けられる点が魅力。ジュンには専属のマーチャントサクセスマネージャーが付き、運用をサポートしているという。

自社ECサイトをリニューアルしたことで決済手段を拡充したり、抽選販売機能を導入したりしている。

「当社のように全国に店舗を持つ企業の自社ECサイトは、リアル店舗と親和性を高くし、境目なくサービスを提供できるかが鍵となる。実際、ECサイトには9人のスタッフを配置し、チャットで接客している。店舗での接客経験を持つスタッフが、ライフスタイルの変化により、オンラインの接客スタッフになったケースが多い。お客さまからの問い合わせに応じ、お薦めのスタイリングを紹介したり、画像を用いてサイズ感を伝えたりしている」(ジュン 中嶋氏)と話す。

ECサイトの接客スタッフは顧客対応だけではなく、顧客の声や自身の気付きによるECサイトの改善点をレポートする役割も担っている。「実際の色味と画像の色が違う」「商品の説明が分かりにくい」などのレポートが毎日のように上がってくるという。報告を受けたブランドは、その日のうちに改善するよう心掛けている。

「店舗とECサイトのOMOをどう進めていくかを検討するため、社内にOMO研究会を立ち上げた。機能だけではなく、現場でのオペレーションまで研究することで、お客さまにとって本当にいいサービスを提供できるようになると思う」(ジュン 中嶋氏)と話す。

今後、「Shopify」とシームレスに連携できるPOSソリューション「Shopify POS」を導入し、EC商品の店頭受け取りや、リアル店舗に在庫がないEC商品の購入などをできるようにする計画だ。

「『Shopify POS』はまだ、店頭でクレジットカードをスキャンして決済したり、キャッシュレス決済などを利用したりできない。ただ、ECサイトの商品情報を呼び出し、決済用のURLを来店したお客さまにお送りし、購入していただくことはできる。リアル店舗でECサイトの商品購入を促進することも可能だ」(ウェブライフジャパン 山岡CEO)と話す。

全国に店舗を展開するジュンでは、リアル店舗では既存のPOSレジを使用しつつ、「Shopify POS」を併用することでOMO体制の構築を進める計画だ。



RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事